読書感想文「ありえないほどうるさいオルゴール店(瀧羽麻子)」

とにかく優しい話です。舞台は、北海道の小樽にある小さなオルゴール店です。そこだけだと、別に変わったところはないように感じるのですが、このオルゴール店は、普通の店とは違うのです。この店の店主には、お客様の心の声が音色となって聞こえるのです。心の音楽が聞こえるという不思議な店主は、店を訪れる様々な人々の心に寄り添うようにしてくれます。押し付けがましい訳ではなく、とても自然に寄り添ってくれるのです。

 

まさに、繊細なオルゴールのような話なのです。人々の心の傷は目には見えません。耳が聞こえない男の子の心にも、確かに彼だけの音が流れているんです。家族も気がつかないような、繊細な心です。もしも、彼の心の音色を聞く事が出来たなら、きっと彼の生活は変わるのにと思いました。バンドを目指していた女の子にしてもそうです。長年追いかけた夢が破れた時の悲しみも、本人以外には知る事が出来ないのです。

 

 

 

でも、悲しい記憶は決して悲しみだけではないのだとこの店の店主は教えてくれているようでした。傷ついた心が奏でる音楽を小箱に詰め込んでくれます。その人の心には、いろいろな心があります。でも、そのどれもこれも忘れてはならない心なのです。心の音色を小箱に詰め込む事で、言葉では伝えられなかった思いを伝える事が出きるでしょう。そして、いつかそっと自分の心の音色を聞く時が来るのだと思います。

 

そして、ストーリーの不思議さは、これらのストーリーがまるで当たり前の出来事のように進んでいくのが驚きです。普通は、かなり驚きますよね。人の心が音色になって聞こえるなんて。なのに、まるでそれが普通の事のようにいつしかストーリーに引き込まれます。オムニバス形式で話が進むので、寝る前に読むのにとても向いています。そして、自分の心にはどんな音色が泣かれているのだろうと、ふと思ってしまいます。綺麗な音色なら良いなと、ついつい考えながら読んでしまいます。

 

(40代女性)

 

 

ありえないほどうるさいオルゴール店
瀧羽 麻子
幻冬舎 (2018-05-10)
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