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読書感想文「たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に(佐藤青南)」

この小説は、ミステリー小説だ。小説の宣伝文章にも「純愛ミステリー小説」と記載がされているが、第一章を読んでいる時には、「これは単なる恋愛小説なのでは?」と思った。しかし第二章に入り物語の語り手となる人物が変わってからは、驚きの展開の連続だ。
 
がらりと物語の雰囲気が変わり、一つ、また一つと明かされていく真実が衝撃的で、ページをめくる手が止まらない。続きが気になり、一気に読了してしまった。確かに、純愛を描いている小説だ。だがしかし、それ以上にミステリーの比率が高い。登場人物全員が純愛を貫いた結果、起こった出来事が描かれているのだが、こんなにも話が二転三転するとは思わなかった。
 
三角関係という言葉では表しきれない男女三人の関係が、描かれていた。主となる女性登場人物二人の「峰岸さん」「ナナちゃん」の思惑が分かった時には、鳥肌が立った。第一章から峰岸さんが狂気に満ちた愛し方をしていることは読み取れたが、まさかナナちゃんまでもが、あんな思惑を抱いていたなんて、驚いた。
 
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この本のタイトルにある「嘘つきな君」はナナちゃんのことだと思うのだが、確かにこの本の主人公である「公洋くん」は、「ナナちゃんに出会わなければ、あんなことにはならなかったのにな……」と思った。まあ、ナナちゃんの狂気は、峰岸さんの狂気に比べると、まだ可愛いものだとは思うが。
 
ナナちゃんには共感できる部分もあったのだが、峰岸さんのことはただただ恐ろしく思えた。現実に峰岸さんのような女性には、絶対に出会いたくないと思う。物語の伏線の回収の仕方も見事だった。極力ネタバレは知らないままに読んだ方が楽しめる小説だとは思うが、一度読了した後にもう一度それぞれの思惑が分かった上で読み返すと、「ここの描写は、この伏線だったのか!」という新たな発見があり、また物語に深みが増す。
 
最後に明かされる真実が、公洋くんにとってあまりにも悲しい結末なので、読後感は決して良いとは言えなかったが、文句なしに「面白かった」と感じた小説だった。
 
(30代女性)
 
 
 

たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に (祥伝社文庫)
佐藤青南
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