主人公は三十代の女性で離婚歴がある方で、いろいろと問題が起きたアパートマンションの部屋を転々と住み続ける仕事をしている。この本の紹介記事を新聞で読んでこの仕事について興味を持ち、読むに至った。こういう仕事が本当にあるのかどうか、まず疑問に思ったが、いまだにそれは自分としてはわからない。
わけあり物件というのは部屋で起きたトラブルであり、殺人事件や傷害事件、自殺などであり、確かに部屋を借りる場合、以前その場所でそのような事件があることを知れば、借りるのを避けるかもしれない。不動産屋は借り主に以前住んでいた方の情報を教える必要があるらしく、一度誰かが住むことで次に借る人には教える必要がなくなることで浄化作用とういう意味でロンダリングというらしい。
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住むだけの仕事というのは違和感があるが、自分にはできるかどうか考えてしまう。主人公は離婚をきっかけに家をでることになり、いろいろな不動産屋を巡っているうちにその仕事を勧められ、始めることになる。住む場所を変えることで、その土地の人たちと自然と関わりを持たざるを得なくなり、人との交流をはじめることになるのだが、物語に登場する、少しおせっかいなおばさんの影響により、主人公の引っ込み思案の性格が少しずつ変わっていくように思えた。
離婚を機に今後どういう生き方をしていくことがわからない感じの主人公であったが、ある小さいお店の手伝いをすることで、また仕事の感覚を取り戻していっているようであった。おっとりした性格の主人公に思えたが、人と関わることで、その人たちを少しでも理解していくことで、その人たちへの感情が芽生え、何か些細な苦難困難があれば、自然と行動せざるを得ないということなのだと思えた。
最後の場面では同僚を助けたいという一心で取った行動はいままでの主人公のイメージとはかなりかけ離れているように思えた。停滞しているときはやはり人との関わりにより、何かきっかけを得ることで前へ進めるのかなと思えるストーリーでした。
(30代男性)
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