読書感想文「地球から来た男(星新一)」

帰省のための新幹線の中で読むために購入したものだ。いくつかのショートストーリーで構成されているのでとても読みやすい。表題の「地球から来た男」は産業スパイとしてとある研究所に潜入した主人公の話だった。主人公は大金が入ることを条件に、会社から言われてその研究所に潜入したのだが、厳重な警備がされていたため、すぐに見つかってしまう。
 
彼は開発途中のテレポーテーション装置によって、別の場所に送られてしまう。その場所は地球ではない場所だった。しかし、そこは見覚えのある場所だった。たまにバラエティ番組で、芸人をドッキリにかけるという企画などでこういったことが行われる。屋内のスタジオかと思ったら、ドアを開けたら外に出ていたとか、寝ている間に何もない広い場所に来ていたとか。
 
そこから、なぜか車に乗せられて、ドリフト走行したり、火花が散ったり、爆発が起きたりするというドッキリだ。なんとなくこの物語を読んでそんなドッキリ企画を思い出した。お話としてはかなり似ている気がする。気が付いたら、どこだかわからない場所に寝ていた。この物語では地球ではない場所に送ると言われていたので、絶対に地球ではないどこかだという気持ちで目が覚めるのだろう。
 

 
 
ただ、歩き回っていたら文字は読めるし、その星の住人とも会話ができる。自分の最寄りの駅にも到着することができ、尚且つ自分の妻にも出会うことができる。しかし、地球ではない場所に送られたはずなのに、地球とそっくりなのだ。ここは果たして地球なのか?自分の知っている、愛している妻なのか?
 
主人公は混乱しつつも、その星での生活を送る。ドッキリにかけられたのに、ドッキリだと気づかない芸人みたいではないか。でも、今いる自分も、誰かによってこの場所に移動させられていたら、どうだろうか。気づかない間に自分のもともといた場所とそっくりな場所に移動させられていたら。
 
新幹線に乗って読んでいたら、自分がどこにいくのか見失ってしまいそうになった。私が到着する場所は、本当に私の知っているその場所なのだろうか。
 
(30代女性)
 
 
 
 

地球から来た男 (角川文庫)
KADOKAWA / 角川書店 (2012-10-17)
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