私は「声の網」を読んで、今のスマホの状況を考えてしまった。この小説は1970年頃に書かれたものらしいが、その当時はまだ黒電話でインターネットなどは無かったようだ。全ての家庭に電話があったわけではなく、電話が一般的に普及している前に書かれている。
しかし、小説の内容は人々が電話の声によって支配されていて、それがとてつもなく大きな存在である。その状況は今の通信技術が発達した状態をまるで予告しているような話だった。まさにコンピューターを作った人間が、逆にコンピューターに支配される時代が描かれている。
現代はあらゆるところで、コンピューターが働いている。おそらくコンピューターが管理していなければ、できないことがたくさんあるだろう。人間では間違えやすいようなことでも、コンピューターならば非常に正確に行うことができるだろう。今後、さらに単純な作業はコンピューターが担っていくことになるかもしれない。
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この話では人間がコンピューターを疑いはじめても、その記憶を根本からコンピューターが消してしまう。そのため、人々の記憶には残らない。「情報化社会の時代」の次に「無の時代」がやってくると書かれているが、現代はすでにこの「無の時代」に入ってきているのかもしれない。
もしかしたら断捨離が流行っているのも、物や情報があふれた時代から卒業しようという動きなのかもしれないと想像してしまう。今から45年以上前に、今の状況を予測していたのかもしれない。そう考えると、時代は繰り返しているのだと思ってしまう。
人間はどんなに良い状態でも、同じことが続くとそれに飽きて来てしまう。そのため、今の現状を壊して新しい状況に走ってしまいたくなるのだろう。45年くらい前に人々が求めていたことが、今現実となっていることがある。その大きなものがインターネットなどの無線の通信技術なのかもしれない。
この小説は結論があるような、無いような感じで、後味が何ともスッキリしない感じだ。しかし、そこがこの小説の面白いところなのだと思った。
(40代女性)
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