読書感想文「異邦人(カミュ)」

「幸せ」って人によって違うということは理解していた。理解していたつもりだった。この作品を読んで「つもり」だったと実感した。幸せだと感じる事柄は人それぞれ違うことは分かっていたけれど、最近どうしても周囲と比べたりして幸せを感じることができていなかった。しかし、そのような最近の自分を反省させられた。タイミングよく出会った一冊である。この作品を読んで、自分の人生に自信をもって後悔のないよう生きていこうと決心した。同時に自分の人生に自信をもつ、後悔のないよう生きるにはどうしたらいいのか。と深くこれからの生き方を考えさせられた。また、この作品では、母親が死んだ直後にもかかわらず女性と遊んでいることを咎められる部分があるけれど、実はそれは親の死はいつか必ず訪れることを理解し、覚悟していたからこそ普段通りに過ごせたのではないかと思う。理屈では分かっているけれど、ついつい親はいつまでもいるものだと思いながら日々過ごしてしまっていることを戒められた。だから、私は、久しぶりに休日は実家に帰ることにした。いつでも帰れる距離にあるから余計に特に用事がなければ遠のいていた実家だが、いつまでも会えるものではないのだ。と思い、会いに行った。何をするわけでもなかったけれど、ただ仕事の話だとか日常の話だとか他愛もない話をするだけだったけど、この本を読んだ後だととてもかけがえのない時間だと感じたものだ。このように少し普段と違うことをしてみようと思うからやはり読書はやめられないな。と思う。そして、両親に素直に感謝の気持ちが表せたのも読書の効果だったと思う。ものすごく不審がられたが。自分の人生に自信を持っていきていくということは簡単なようで難しいと思う。特に私はついつい些細なことで迷ってしまいがちだから一筋縄ではいかないと思うけれど迷ったり、自信をなくしたりした時はこの本の存在を思い出して、後悔のない人生を過ごしたいものである。

 

(30代女性)

 


 

 

 

この本に出会って最初に感じたことは乾いていてでも透明感のある不思議さでした。色々なお話がある中でこの物語の特徴が他の物語より私が特別に感じたのは、登場人物たちの感情がずっと乾いた透明感の中にあることでした。ストーリーの最初に主人公の母親が亡くなりますが主人公の母親を語る場面はやはりサラッとしているのです。本来なら語りきれないほどの愛憎があっただろうに主人公は自分の母親のことを淡々と語るのです。私はずっと不思議に思いながらこの物語を読み進めました。いったい主人公は何を考えているのだろうか、あまり周囲のことに興味がないのかもしれないし、実は母親が亡くなったことがショックなのかもしれない。私はあれこれと推測をしながらこの物語を旅していました。そう、本を読むことは旅をすることと似ています。今の自分を忘れて物語の世界に入っていく、そういうことです。読み進めていくうちにだいたいは主人公と気持ちが重なりまるで自分が物語の主人公になった気分になるのですがこの物語はそうではありませんでした。それはこの物語の雰囲気が最初に私が感じたように乾いた透明感のあるままだからかもしれません。それはまるで地球上で一番硬いダイヤモンドのような雰囲気です。ところが主人公の行動は激しく常軌を逸しています。母親の死を悼むどころか恋人とどんちゃん騒ぎをしている時はもしかしたらこれは主人公が母親の死を悲しんでいるのではないだろうかと私は思いました。でもそれは文章ではっきりと書かれていないので私の想像の域でしかありません。清らかで冷たい水が流れる壁の向こう側で主人公の感情が大きく膨れ上がり爆発しそうになっているけれどその血肉があるはずの主人公の様子が淡々と伝わってくる、そんな感じがずっと続きます。やがて主人公は殺人を犯してしまいます。主人公の感情は爆発したのですがこの時でさえ主人公は淡々としています。でも主人公が殺人を犯した一番の理由に私は驚愕しました。暑かったから。主人公は投獄され死刑を宣告されますがそれさえも淡々と受け止めます。ある意味、死ぬ覚悟を通り越して生きることを放棄したのだと私は思いましたが不思議なことに主人公は絶望するのでもなくむしろ小さな楽しみさえ見つけていくのです。そして私を驚かせたのは主人公が人々に憎まれながら死ぬのが望みだということでした。これはある意味永遠のテ-マかもしれません。どんな人でも孤独を抱えているけれどそれをどうするのかはその人次第なのだと私は思います。

 

(50代女性)

 

 

 

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