読書感想文「河童が覗いたニッポン(妹尾河童)」

この妹尾河童さんの書いた本は本というより図説付きの解説書といったほうが正しいかもしれない。まず一番驚くのはよくここまで観察し描けたと誰もが感心するほど細密な絵である。俯瞰図も多様され、立体的で描かれた図がまるで目の前にあるように浮かび上がってくるのである。

 

これをどうやって書き描けたのかと不思議に思う。この河童が覗いたニッポンの中には我々が全く見過ごしている日常生活では滅多にみることのできない日本のあれこれが描かれているのだ。

 

例えばたまに目にする地下鉄工事、我々がみることのできるのは道路の脇から工事の看板や衝立、隙間からちらっと空いてる穴がみえるくらいであろう。そこを著者は地下鉄工事現場を横から縦から切り取って断面から見れるように断面図、そして上から眺めた時にどうなっているのかという俯瞰図を描いてしますのである。

 

 

下に掘っていくので俯瞰図を描くのは簡単であろう。しかし断面図というのは俯瞰図より自身の頭の中で想像してそれを元に実際の現場の図を書いていくのである。私たちが何かを見た時、それがそのまま目に映るだけであるのに著者の頭の中はどうなっているのかと思う。

 

地下鉄工事現場はまず地面に穴を掘削機で穴をあけ始める所から徐々に穴をあけ、掘った時に出た砂や土、石を上にあげていく過程や、穴を広げていき縦に3階建てぐらいになっていを見事に断面図に描いている。

 

著者は大変凝り性なので、どのように出来上がっていくのか現場の方に死ぬほど質問したかと思われる詳細な解説がついており、これを読めばただの素人でも地下鉄工事の進め方がわかるであろう。

 

このほかに盲人が使用する点字版、どのような物かどうやって使用するのか点字用の50音はどうやって書くのか記載がある。点字は少し厚めの紙に凹凸をつけて字にしてそれを指先で触って読んでいくのだがこれがとても難しい。著者も点字を書く(打つ)ことはできるが、読もうとすると難しく諦めてしまう。

 

本の中には、刺繍、入れ墨やCM作りの裏側など様々な場所で著者が気になった物に迫り、詳細な説明、経験と共に細密な図が描かれている。この著者の本は著者と一緒に体感しているような感覚に襲われぐいぐいと本の中に引き込まれていってします。一度読むと病みつきになり、このシリーズを全て読破すること間違いなしである。

 

(40代女性)

 

 

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