読書感想文「世界の終わりという名の雑貨店(嶽本野ばら)」

書籍としては薄い本ですが、内容がとても深く切ない一冊です。まず最初に言いたいのは、作品の中に登場人物の名前は出てきません。主人公は「僕」、相手の女性は「君」です。
 
小説としては少し異例だと感じましたが、僕と君の風貌や思考などは手に取るように分かるんです。何故かというと、細かすぎるほどの説明があるからです。服装ひとつひとつのディテール、いちいちどんな素材で、どのくらいの丈で、など表記されている小説があるでしょうか?
 
お洒落が好きな人は容易く想像がつくでしょう。それほど細かく、美しい表現がされているんです。まるでこの目で見て触れたかのごとく、手に取るように分かるんです。この作品に出会ったことで私の中の「登場人物には名前がある」という概念が覆されました。

 
 
名前なんか無くても、相手のことを何も知らなくても恋愛は成立する。動物的本能とも言えるような衝動的な恋愛が出来る、僕と君を少し羨ましく感じる自分が居ます。そして注目したいのは、独特な感情表現の仕方です。少し古風ですが、私たちが忘れかけているような感情を思い出させてくれるような、
 
身に沁みるようなものです。この感覚を文章で伝えるには勿体無いほどです。読んでいくうちに、まるで自分が作品の中にいるかのような錯覚を起こすほど表現力があります。文章ひとつでここまで読者として想像力が豊かになるとは思いませんでした。
 
一番印象に残ったのは「恋愛に駆け引きは必要ない」ということです。綺麗な景色を見たことを伝えるだけで恋愛は成り立つのだ、と痛感しました。現実の恋愛では、回りくどく正直面倒な事も多くあります。果たしてそれが真実の愛なのか?と自問自答をさせてくれました。
 
私の答えは、YESでもNOでもありませんでしたが形式に囚われない、自分の感性を大事にして良いんだとと言われているような気がします。もっと力を抜いて、単純に生きてみよう。小説の中の僕と君のように感情の赴くまま行動してみてみよう。その後がどうであれ、今が楽しければ良いのだと心に誓えるような、そんな小説でした。
 
(20代女性)
 
 
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