読書感想文「だれでも書ける最高の読書感想文(齋藤孝)」

一冊の本を読む時、読者は読み手として自由に本の世界を歩き、内容を感じ取り、時には作者と対話しているような気持になることがあるだろう。その心の動きを辿りながら、あなたの心をいちばん震わせたものを丁寧に選び出す作業こそ、良い読書感想文を書くための大切な核と言える。
 
それは宝石の原石を磨き、優れた技術でカットを施すことにより、一層美しい輝きを引き出す作業と似ていると思った。自分の考えを深く見つめ、言葉を選び、どう表現すれば上手く伝えられるのか、何度も推敲することで、自分自身で考える力を鍛えることができる。
 
大人の私でも、時にそういった作業をすることで効率よく考えをまとめる良い訓練になるだろう。読書と感想文、この対になったものは切り離すことなく常にペアにしておくことで、私たちの物を見る視点の角度を変化させてくれると共に、問題意識を持つきっかけとなり、「気付き」を与えてくれる。
 

 
 
それは自分の思考の広がりとして、読書という極めて個人的な行為から一歩踏み出し、現実社会で物事を考え、意見を伝える際にも必ず役に立つであろうと思う。やがて生きることそのものに直結していくだろう。良い本に出会った時、その本から学ぶ機会を大切にして、自分の感性を信じてみると自分の中に眠っていた別の一面を発見するかもしれない。
 
またその本を読んでいるうちに言葉から力を貰えるかもしれない。そして「なぜ」という疑問を持った時、その答えを自分の力で見つけようとすることで、より深く人間を、物事を、社会を考えるようになるだろう。それを伝えるため言葉にする。コンクールで優勝した感想文は勿論素晴らしいと思う。
 
しかし、最高の読書感想文というのは、そのようにして自分自身で見つけたものを自分の中から溢れ出てくる言葉で表現したものかもしれないと私は思う。この本を読みながら、私は大人としての自分の時間と、この本の対象となる読者、中学生や高校生、もう過ぎてしまったその頃の時間とを行き来する自分に出会えた。
 
読書感想文の実例として載っている受賞作品の一部、又は全文を読んでいる時の私は時を遡り読書感想文を書いていた頃の私に戻っていた。これほど豊かな表現や、柔らかい視線で私は本を読み、意味を感じていただろうか。今、大人になってこの本を読んだことで、次に何か本を読む時は読書感想文を書くような気持ちで本を読んでみたいと思った。
 
普段は意識せずに読み終えてしまう本たちにもう一歩寄り添い、そこから自分らしい感動を引き出して、透明な気持ちで受け止めたい。更にそれを忘れてしまわないように書き残したいと思っている。大人になっても読書感想文を書きたいという気持ちになったのは、いつの間にか閉じてしまった自由に何かを感じる心の扉をもう一度開いて、自由な心で本を読みたいと思ったからだろう。
 
それだけではない。大人になり忘れてしまった「生きることはどういうことか」という問いにもう一度意味を見つけたくなったからだ。そして考えを伝えるための手段である言葉を大切に扱いたいと強く感じた。
 
(40代女性)
 
 
 

だれでも書ける最高の読書感想文 (角川文庫)
齋藤 孝
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