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読書感想文「脳卒中を生きる意味―病いと障害の社会学(細田満和子)」

 
人との出会いとは、そう単純なものではない。本書は脳卒中者の体験から、病を生きるということとは何か、病を受け入れるにはどうすればいいのか、そして再び生きるために必要な出会いについてなどが書かれている。本書によれば脳卒中の発症により、①生命、②コミュニケーション、③身体、④家庭生活、⑤社会生活という観点で危機が訪れる。
 
もちろん、それまで蓄えてきた経験によって、何が危機と感じるかは人それぞれである。だが脳卒中の発症者は高齢者層だけでなく、20代や30代の若年者層もいれば、40代から60代の中年者層の人もおり、多くの場合、何の前触れもなく発症する。
 
つまり、いつも「普通」だと思っていた生活が突然奪われることになる。私自身、いつ脳卒中が発症してもおかしくない。本書を読んでまず思ったことは、自身の今後の生活は本当に安全なものなのか、そしてもし自身が脳卒中を発症した場合はいったい誰が助けてくれるのかという疑問や不安だ。
 
今は普通に生活できていても、備えを怠るべきではない。そういった意識になることは、本書を読んで良かったところである。また、脳卒中を発症したからと言って、人生の終わりではない。本書に書かれている脳卒中者の話によれば、脳卒中によって新しい自分を発見し、生まれ変わることができたという肯定的な主張がある。
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中には「脳卒中になって良かった」と言う人もいるそうだ。それは、「出会い」がもたらす「変容」の結果である。本書で言う「出会い」とは、ただ単に人と人が会うことではない。私自身にとって相手が必要で、相手にとっても私自身が必要というように、お互いを必要とし合ってはじめて「出会い」となる。
 
このことを本書で認識したことにより、私も身近にいる人たちとの関わり方を見直すことができるようになった。例えば家族と過ごしている時に、相手は私に何を求めているのか、私に何がしてあげられるのか、私自身はどう接していきたいのかということを強く意識するようになった。
 
それに伴い家族だけでなく、私の生活の中で関わる多くの人に対してコミュニケーションをとる機会が増え、私が相手を思いやって行動することも増えた。それに伴い相手が私に対しても親しく振舞うことも増えたように感じる。
 
このように、本書を読んで得たことは病気の大変さを知ることにとどまらず、今まで当たり前だと思っていた自分の生活を見直す機会となり、私の社会性が以前より育まれたということだ。
 
(20代男性)
 
 
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