読書感想文「アンの愛情(ルーシー・モード・モンゴメリ)」

非常に有名な赤毛のアンシリーズの2作目である「アンの友情」では舞台であるアボンリーを中心にストーリーが展開する内容である。アボンリー小学校の先生になったアンはそこで生徒とのトラブルや保護者とのやり取りなど、教員であれば避けられない問題を彼女なりに克服していく。

 

無論、アンシリーズはモンゴメリーが創り出したフィクションであることに違いないが、アンの振る舞いや社会に対する接し方を読み解いていくと「モンゴメリー的教養」とは何たるかを教えてくれるように思える。また、物語全体に伏在する作者なりの幸福論が読者に生きるヒントを与えてくれるように思える。その点を踏まえた上で私が関心を抱くのは、アンの問題解決の方法であり別の言い方をすれば彼女の哲学、または原理である。

 

 

 

アンは幼少期から一貫して自分が善いと感じたことだけを敢行してきた。その善は宗教的なそれではなくごく自然で素朴な類の感覚からくるものであった。その感覚で獲得した善の性質を年齢を負うごとに巧みに言語化するようになってくるのである。モンゴメリーの卓越した洞察はその点で発揮されている、と私は感じ取った。つまるところ幼少期の美的感覚や善的感覚はその本質を内包しつつ成長していく描写が読者の理性を刺激するのである。

 

先に述べたモンゴメリー的教養が屡現れてくるのはアンが失敗してしまう場面や他人を説得する場面である。例えば、アンは何か失敗を犯してしまったときには、素直に事実をを述べ、自分が不利益になるようなことでも正直に認める。説得しなければならないときは、大抵他人の為のときであり自分がすべて責任を負い「あなたにすべてを捧げます」といった態度(眼差し)で臨むのである。それはアンの功利的な欲望を満足させるための行為ではなく、あくまで奉仕的で没我な善意からくる行為なのである。

 

あたかも、アンは言葉の限界を本能的に知っており、交渉の際の振る舞いであるとか礼儀であるとかを大切にしているように私には思えるのである。以上のことが作品を読み終えて感じ取った固有の美しさである。

 

(20代男性)

 

 

 

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