読書感想文「初恋(島崎藤村)」

初恋と言えば甘酸っぱいイメージがあり、楽しさや喜びや恥ずかしさもありながらもやはり苦さがあるのが一般的な初恋のイメージだと私は思う。しかし、この島崎藤村が書いた「初恋」は少し大人っぽさを感じる。それは歴史背景もあるのだろうと私は解釈して読んでいた。
 
当時の15、6の男女と言えば結婚をしていてもおかしくない年齢でもある。そういった時代背景から現代の初恋や一般的な初恋のイメージよりも少し大人に感じる。
 
りんごの木の下で二人が会っていたというシチュエーションが想像しただけでもとてもきれいな景色だと私は思う。人目を盗んで会っていたリンゴの木下に、いつのまにか道ができるほど二人は出会っていたという。そのことが初恋を思わせるほっこりしたエピソードだと感じる。
 
今の現代ではメールや携帯で簡単に連絡が取れるが当時は電話もない家が多い。そんな中で二人はりんごの木の下で会うスリルや興奮は想像しただけでワクワクしてしまう。
 

 
 
また、少女が少年にどうして道ができたのだろうと語っている部分は今も昔も変わらない男女の駆け引きや関係性が表れていて何ともユニークである。
 
文字や言葉は時代とともに少しずつ変わっていくためニュアンスでしかわからない部分もあった。しかし、恋愛というのは約100年経っても変わらずあり続けるために、この短歌を読むことで当時の初恋を共感することや、共有することが出来てとても嬉しく思った。
 
そして、この「初恋」ではりんごを通して季節を感じることで、二人の関係が変わっていっていることがよくわかる。そこもまたお洒落で私の好きなポイントである。りんごの実が青いころに好きになり、最後には二人は恋仲になっている。読んでいて笑顔になってしまう私がいる。
 
島崎藤村が「初恋」をかいた時代は恋愛を経て結婚をすることは決して一般的ではなかったであろう。だからこそ、この詩は若い人たちに支持をされたのではないだろうかと思う。今は恋愛がしにくく少子化となっている時代である。この「初恋」を読んで少しでも多くの恋愛を現代の社会に取り戻してもらえればよいとも思う。
 
(20代女性)
 
 
 
 

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