読書感想文「ハワイイ紀行(池澤夏樹)」

今思えば、恥ずかしいことに、当時はハワイ好きといっても単純にワイキキ好きに過ぎず表面的にしかハワイの事を知らなかった。近年、ハワイを訪れるたびに開発が進み、人が増え、変化し続けるワイキキとその近郊を見て、なんだか違うと感じ始めた自分が居た。

 

もともとは何もなかった大きな海、太平洋。日が照り、波がゆうゆうとうねり、夜は満天の星が輝いて、それが全部だった。そこに南から人がやってきて、その土地に根付き、自然と共存し、自然を循環させる暮らしをしていた。ところが、15世紀以降になり、他の国々でも珍しくないようにヨーロッパの人々がやってくる。最初はわずかなその人数も次第に増え、先住民の暮らしぶりも変わってしまう。王朝も倒されて、白人の国の支配下に入ることになった。

 

 

 

その後は、大きな戦争にも巻き込まれ、この島自体も巻き込まれ、戦艦も沈められた。そんな歴史のあるハワイ。現在は楽園と呼ばれ観光客が行き来するワイキキではあるが、ハワイの絶滅しつつある固有種の事など、沢山のことをこの本から教えてもらうことができたと思う。

 

「ウア・マウ・ケ・エア・オ・カ・アイナ・イ・カ・ポノ(大地の命は正義の元に永続する)」この言葉は、かつてのハワイ王国のカメハメハ3世が演説の中で言ったとされる。そして、この言葉を歌った、イズラエル・カマカイウオレの歌「もしも今かつての王様と王妃が蘇ったら、この現状をどう思うのか?」。

 

私は、開発の進み続けるワイキキを見る度に、大切な、そして奇跡が重なって出来たともいえるハワイの島が、傷つけられていくようで心配せずにはいられなくなった。同じことは、この日本という島国でも言えるのではないか。自然災害や戦争という様々な困難に、なんとか打ち勝ってきたこの国とハワイを重ねてそう思った。

 

(50代女性)

 

 

 

 

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