「レゾンデートルの誓い」の読書感想文
「レゾンデートルの誓い」は前作「レゾンデートル祈り」の続編である。物語は安楽死が認められている世界だ。安楽死には2つの種類があり、難病や年齢など身体的な状態が悪い人が取得できるRESと14歳以上で、精神的・肉体的な苦痛がある人が取得できるRENである。
しかし、この物語の面白いところはこのRENを取得した人がすぐに安楽死できるというわけではないことだ。このRENを取得した人が安楽死をするには人命幇助者・アシスターとの10回の面談を行う必要があるのだ。
この面談の中で、ほんとに安楽死を選択するのか、改めて自分の人生を振り返ってみて、やっぱり安楽死を選ばずに、自分の人生を生きていくのかを選択するのだ。人なら誰でも「今、楽に死ぬことができたらどれだけ楽か」と一度は考えることのがあるはずだ。
今私たちが生きているこの世界でも、いじめや誹謗中傷、生活が苦しいなどの理由で自殺する人が多くなっているのがリアルだ。そんな現実問題に向き合った作品である。今作の「レゾンデートの誓い」では、主人公も一度はこのRENを取得しようと考えたことのある少女だ。
一度は自分も安楽死を選択し、アシスターと出会い、自分の人生を振り返り、もう一度生きていくことを選択した主人公が自分と同じように安楽死を選択する人に対して向き合っていく姿がとても勇気を与えてくれるのだ。
もちろん安楽死を選択しているような状態の人に「がんばれ」「努力が足りないからだ」などありきたりな言葉をかけるのではなく、その人の人生、生き方に寄り添って話をすることで徐々に前向きになっていくことができるのだ。
これは現在の日本、世界においても、自殺をしてしまう人に対して、その周りにいる人たちがしていかないといけないことである。もちろん、誰かと話しても、話を聞いてもらってもそれでも安楽死を選択する人が物語にはでてくるである。
しかし、安楽死をしても面談を重ねていく上で、自分の人生振り返ることや、今の自分の生き方をよかったと思えることもあるのだ。この現代社会において、生活が苦しくて、死んでしまいたいと思うことは誰にでもあるのだ。その中で、他の誰かではなく、自分にとって正しい選択を考えさせてくれるそんな一冊だ。
(20代男性)
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