「死刑にいたる病」の読書感想文
連続殺人鬼の榛村大和の異常性が面白い。話が淡々と続いていくのだ。そう淡々と淡々となのである。この淡々とした話の流れが不気味なのである。連続殺人鬼である榛村大和は、9件の事件で死刑判決を受けている。
通常であれば、この殺人事件というのは大きな展開がなされていてハラハラドキドキとした話があったり、殺されるのではないかという不安をかき立てられたから読み続けるというのが常だと思う。しかし、この話は淡々となのである。
では何故この話は淡々と行われているのだろうかと考えてみたら、この連続殺人鬼の榛村大和の異常性に辿り着いたのである。この連続殺人鬼は、普通なのである。連続殺人鬼のようには見えない、そこに不快感や気味の悪さを感じてしまうのである。
日常に溶け込んでいて、誰も連続殺人鬼などと思っていない。むしろ、人として魅力的で、好意まで感じてしまいかねない。この異常な連続殺人鬼が普通の人として、一般人として社会に溶け込んでいるのがとても不気味で、9件の事件で死刑判決を受けていて、なお、最後の1件は冤罪であるからそれを証明して欲しいという狂気性ここにとても引き込まれてしまう。
自分がまるで目の前に異常な連続殺人鬼を目の前にしている様な、本当に異常な連続殺人鬼と対峙させられたらこのような感じなんだろうなという空気感を味合わされれる。連続殺人鬼である榛村大和、9件の連続殺人のうち1件が冤罪である事に対する解決の意味がなんであるのか。
通常9件の連続殺人をして死刑判決を受けた場合は、もはやその後の事はどうでもよくなってしまい、その1件の冤罪が解決されたとて、何かが変わるものではないと思われる。では、この連続殺人鬼は何にこだわっているのだろうか。
冤罪を解決すべく榛村大和が生きてきた歴史を見たり、関わってきた人達と話を聞いたりする事で連続殺人鬼である榛村大和への理解が深まっていくのが心地よく、これは第三者として榛村大和がこうゆう人間だったのかと理解するに留まらず、連続殺人鬼の思考に染まっていってしまうような、まるで連続殺人を起こすことへの理解をしてしまうような不快さがとても心地よくあるのである。
(30代男性)
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