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読書感想文「答えは市役所3階に 2020心の相談室(辻堂ゆめ)」

「答えは市役所3階に 2020心の相談室」の読書感想文

自分が抱えている全ての悩みを他人に相談する難しさを実感させられた作品だった。確かに、家族や友人などの近しい関係より、カウンセラーなどの他人の方が相談しやすい内容もあるが、自分の悩みを打ち明けることは思った以上に勇気がいることだ。

いくら他人でも自分の内面、置かれている状況、知られたくない秘密、本音などを知られるのは、少し気が引けるからだ。私自身、新卒で就職した会社で上手くいかず、最終的に精神を病んで退職した。

その後は精神内科に通院していたが、カウンセラーの方に話せた内容は「今の会社で働くのが辛い」、「自分は今の仕事が向いてないのではないか」など、無難な内容だった。

しかし、今現在、当時を振り返ると、本当は「実は人間関係が苦手で、人とあまり関わりたくないが、どうすればいいか?」、「会社で働くより一人で働きたい」、など自分の内面や本音を伝えたかったと思う。

自尊心や他の人に弱みを見せたくないちっぽけなプライドが邪魔をして、相談できなかった。 また、自分が上手くいかない原因を自分のせいにできる「自己責任」の考えが難しいことを思い知らされた作品でもあった。 

本作はコロナ禍で就職・進学・会社の仕事などが上手くいかず、藁にも縋る思いで市役所のカウンセラー相談室に行く話だ。

コロナ禍というイレギュラーな状況で、「コロナのせいで、就職が上手くいかない」、「コロナのせいで業績が悪くなり、会社を解雇されたり、給料が減らされた」、「コロナのせいで行動が制限された」と考えるのはいい。

しかし、「コロナが無ければ、人生が大きく狂うことは無かった」と考えるのは、多少の事実を含む場合もあるが、大抵は他に何か要因があると思う。どうしても人間の習性上、上手くいかなかった場合は何かのせいにしたくなる。

自分の経験談で言うと、「最初に入る会社を間違えていなければ、自分の人生は今より好転している」といったところだ。本音を言うと、この考えは今でも思っている。 

だが、結局はないものねだりをしているだけで、過去は変えられない。認めたくないが、「自分のリサーチ不足や将来の仕事像が描けず、安易な気持ちで就職先を決めたから、こういう結果になった」と自分軸で物事を考えるしかない。

そうしないと、過去を引きずったまま前に進むことが出来ないからだ。この自己責任の考えは、時に人を苦しめることもあるが、自分軸で自分の人生を生きるなら、この考え方は必須だと思う。

(20代男性)

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