読書感想文「夜の庭師(ジョナサン・オージエ)」

きれいだけれど少し暗めの装丁にひかれて読み始めた。主人公である少女とその弟を中心に話が進んでいくのだけれど、最初は本のタイトルである「庭師」が出てこなかったので、どんな内容の話になるのか想像がつかずにワクワクしながら読んだ。

 

序盤からなんとなく暗く、不安な感じがする本だけれど、その中で主人公である少女とその弟が不安になったり、どうすればいいかわからずに混乱しながらもお互いを信じてまっすぐ進んでいくその絆にじんとした。姉は両親の事で弟に対して秘密にしていることがあるのだけれど、それが自分でもあまり信じたくはないことだが、最終的には受け入れ、弟にも話すところは感動だった。

 

話の中に恐ろしい存在である庭師が出てくるけれど、その存在に力を合わせて立ち向かおうとすることで二人が成長していくのがよくわかる、いい本だと思った。また、この本にはその他にも何人かの登場人物が出てきて、だれもが一癖も二癖もある人物だけれど、それらの人物もいい味を出していた。

 

中でも主人公たちが住み込みで働く屋敷に住む一家は登場した時は全員あまり印象が良くなかったけれど、話が進むにつれて、それぞれの人物がどんな思いを抱え、何を大切にしているのかが浮き彫りになるところはうまいなぁと唸ってしまうほどだ。話が進むほどにその一家の人物、それぞれが変化し、成長していく物語でもあった。

 

特に嫌味な一家の長男が話の最後に見せる成長っぷりがじんとくるところだった。それぞれが成長し、最後には話のその先にはきっと希望が待っていると信じられるさわやかな結末だったこともよかった。

 

直接的となった夜の庭師、と呼ばれる存在は怖くて、強敵だったけれど、その奥にいる黒幕を倒すには、自分の中にある何かとはっきり白黒つけることが肝心になるので、自分の中でどう決着をつけるか、そもそも自分で割り切ることが出来るのか、ということが話の根底となる。

 

なので、読者である自分もどう決着つける気だろう、と話を読み進める中でずっと気にかかる本だった。ホラーだけれど、登場人物の成長っぷりをしっかり見届けることが出来、さわやかな読後感を味わえる本だと思った。

 

(30代女性)

 

 

 

 

夜の庭師 (創元推理文庫)

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