読書感想文「ご主人様と呼ばせてください(サタミシュウ)」

本作は、サタミシュウ先生の、SM青春小説の第二弾だ。前作「私の奴隷になりなさい」と繋がっているが、単体でも楽しめる。そして私は、前作「私の〜」よりも、こちらのほうが好きだと思った。その理由は、主人公格の一人「私=瀬尾」が魅力的だと感じたから、だと思う。

 

「私」は前作で「香奈」という女性と出会い、そこから香奈と、その「ご主人さま」の特異な関係に魅了されてしまう。二人の間にある特殊な愛情と隷属関係に圧倒され、魅入られ、決してその間に入ることが出来ないと痛感し……。挙句の果てに、香奈が主人から解放される、【卒業】の場に立ち会ってしまう。

 

 

 

それから「私」は、今度は香奈の奴隷になり……そして一年後、彼女に捨てられた。それから三年半後、あの出来事から立ち直った「私」が「明乃」という女性と結婚したあたりから、本作はスタートする。例のことをキッカケに、年齢より落ち着いて、何事にも動じない老成した人物になった「私=瀬尾」。

 

実際にはまだ二十八歳なのに、とてもその年齢とは思えないようなクールな男性になっていた。おまけにルックスも良く、どこか神秘的だ。香奈との時間を経て、他人の心の動きを的確に察知し、相手の望む返答をする……そんなことまで可能になった「私」。だがある日、彼は新婚の妻が浮気をしているのに気づく。

 

彼はある目的の為に浮気相手に近付き、なんと「妻との情事の模様を、写真と共にネットにアップしろ」と命じるのだ。自分と浮気相手、そして妻だけが見られる状態にして……。浮気相手を通して、徐々に彼と妻をコントロールしていく「私」。そして戸惑いながらも、「私」の思い通りに、浮気相手と妻の情事はエスカレートしていく。

 

「私」の行動は浮気の復讐などではなく、彼なりの快感を求める手段だった。浮気した妻にも相手にも、一切の嫉妬や復讐心を持たず、淡々と操る「私」が恐ろしい。それでいて、見事だと感嘆する。「私」が齎した幕引きの意外さも含め、最後まで展開が読めない小説だった。ただし、かなり濃厚な濡れ場の描写があるので、苦手な方はご注意頂きたい。

 

(30代女性)

 

 

 

 

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