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読書感想文「嘘つきアーニャの真っ赤な真実(米原万里)」

「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」の読書感想文

この書籍を購入したのは、私が20代だった10年近く前のことだ。面白かった記憶はあったが、全く内容を覚えておらず先日読み返したばかりだった。まるでフィクションのようなタイトルなのにこれはエッセイだった。しかも、よくある今の自分の日常のエッセイではなく著者が子供(1960年代)の頃にプラハ・ソビエト学校で過ごした頃の友人との話で私にはフィクション小説と同じようにとても興味を惹かれた。
 
歴史が得意なわけでも好きなわけでもなく どちらかというと興味のない私は その時代背景も衝撃だしその中で子供らしく過ごしながら やはり時代の波に流されていく子供たち大人にんってからの再開の物語もとても興味深かった。私が購入したのは単行本でタイトルの作品と他2編が収まっている。 
 
ノンフィクションだからだろうか、登場人物たちが皆とても生き生きして魅力的だ。筆者の文章のうまさと当時の人々への愛が さらに魅力的に見せているのだろうと思う。筆者の目線になって 憤りを感じ時代の不条理を感じ周りの人々に思いをはせる。教科書には載らない その時代を生きた人の言葉はとても印象に残る。
 
今の日本を生き、テレビで流れる様々なニュースを現実よりも遠いところに感じる私には やはりこの作品は小説でどこか現実味がない気もするが 学生の時にぼんやりと聞いていた授業やドキュメンタリー番組で耳にした国の名前や様々な言葉を目にすると現実なんだと改めて認識する。悲しい戦争の話ではない。残酷な描写があるわけでもない。
 
それでも現実は残酷なことも伝えてくれる。様々な国から来た子供たちが 無邪気に自分たちの事情を抱えながら交流する。今の自分たちだってそうだ。国は同じでも様々な事情を抱えている。何かが繋がってるような気もするし 離れて行っているような気もする。難しい言葉回しや表現などは一切なく とても読みやすい作品で 誰が何がどこが悪いや良いなど語ることなく 自分の見たものを書いている時代小説のような面も持っているこの作品を 私はまた読み返す日が来るだろう。
 
(30代女性)

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