「魔族狩り」の読書感想文
バブル景気に乗っかるようにして登場した、友成純一。’85年に「肉の儀式」を刊行して作家デビュー。その後バブル崩壊とともに作品の刊行数が激減。なのだが特に’87年以降の刊行数が月刊ペースを上回っていた。ジャンルはスプラッタ小説とでもいえばいいだろうか?余りの過激さに辟易した読者も多いだろうが結構駄作がある。
この「魔族狩り」もやっつけ仕事で書きなぐったなあ、と察せられるデキで、まともな感覚をもっている読者ならばこの著者の他の作品を読んでみたい、などとは思わないだろう。私のようにレベルの低い作品を面白がる人間はそう多くはいないだろう。この人の著作は書店では殆ど月刊誌扱いだったされている。
当然、ベストセラーなどあるわけもなく全然売れなかっただろう。この「魔族狩り」という小説も香港で魔物に取り憑かれた男の狂態を偶然目撃した男が女性霊媒師共にサンシャイン60で魔物と闘うといえば聞こえはいいかもしれないが描写などがなっていなくて、なんといってもその魔族がチンケな存在という設定からして致命的に思われる。
だが、繰り返すようだがその「なっていない」のが個人的には凄い好きで、「友成さんよ、往年の筆の勢いでショーモナイ作品を量産してくれよ」と思うこともしばしば、だ。また、この作品を上梓した有楽出版社の新書版というところにも難点があるのも否めない。有楽出版社の新書版といえば幾人かの方は「ああ、あのシリーズね」と思われるかもしれない。
やはり、同出版社の新書版シリーズでも浮いた感もある。もっと大きな出版社から刊行されたらなあ、ということも思うのだが、こんな作品はいくらノベルズとはいえもっと大きな出版社からは上梓は出来なかっただろうし。結局、友成氏は同出版社からはこの「魔族狩り」の後に同じ登場人物を据えた「淫夢魔」と、「魔族狩り」の前に比較的デキの良い「魔族創世紀」を上梓したが、この3冊止まり。
私が友成氏の作品を読み始めたのが’94年だから氏はもう殆ど新刊を上梓していなく、古本屋で買って読んだものだ。特にこの「魔族狩り」「淫夢魔」は近所の古本屋を何軒もめぐっても見つからず、書店に注文して絶版だったこともあり残念な気持ちになったのを憶えている。
その後引っ越しをして、その引っ越した家の近くの古本屋で’96年に「魔族狩り」2001年に「淫夢魔」を入手、「魔族創世紀」は図書館で借りて無事に読むことができた。
(40代男性)
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