読書感想文「蜜蜂(マヤ・ルンデ)」

私が蜜蜂の大量失踪が起こっていると聞いたのは、もう10年以上前のことだ。養蜂家の仕事のメインがハチミツを集めることではなく、農家に蜜蜂をレンタルすることだとも初めて知った。蜜蜂は巣箱から一定の範囲で活動する。巣箱を果樹園に持って行き蜜蜂を放てば果樹園の木々が受粉される。
 
農家は収穫が見込め、養蜂家はお金とハチミツを得られるというわけだ。そして養蜂家は蜜蜂の世話をしながら次の果樹園へと移動していく。蜜蜂が巣箱に帰らなくなる大量失踪の原因は、農薬かもしれないし、遺伝子組み換え作物の影響、大気汚染、携帯電話などの電磁波、など様々に可能性があるようだが、まだ確かなことはわかっていない。
 

 
 
蜜蜂の大量失踪が私たちの生活にどんな影響を及ぼすのか、ピンときていなかった私に、2098年・タオの話は深刻に映った。作物の受粉を手伝う蜜蜂がいなくなり、人海戦術が得意な中国だけが、手作業で受粉をすることで生き延びているのだ。貴重な作物は家畜の餌に回すことはできず、家畜が減り、肉を食べられなくなる。
 
受粉作業の労働者は大勢必要で、子供までも働かされ始め、働けない者たちは見捨てられていく・・・。蜜蜂がいなくなることは私たちの生活に多大な影響を与えるのだ。1852年・イギリスのウィルダムが人口の巣箱を開発しようとしていたように、人間は蜜蜂を支配しようとしてきた。そして支配できた時代もあったのだろう。
 
2007年・アメリカのジョージのように、蜜蜂のことは理解できている信じていた時代。大規模でより合理的な養蜂家も生まれた。しかし、人間は自然に勝てない。日本には海外のように大規模な養蜂家がいないせいか、蜜蜂の大量失踪についてあまり知られていない。でも人間にとって便利なことだけを考えて自然をないがしろにしていると、いつかそれは私たちに帰ってくる。
 
「蜜蜂」はドラマチックな家族の物語でもある。親子の関係を見つめ直すきっかけにもなる話だ。そして未来の子孫の生活からも切り離せない自然について、深く考えながら読みたい一冊だ。
 
(40代女性)
 
 
 
 

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