読書感想文「みずうみ(シュトルム)」

初恋を描いた作品、「みずうみ」。幼少期に出会ったエリザベートとラインハルト。物語はラインハルトの目線で描かれている。淡い恋の模様が綴られているこの物語。二人が森の中をさまよう姿は、読んでいて幻想的な雰囲気が脳内に広がった。お互いに無二の友人だった二人。多くの日々を過ごした二人は、大人になっていく。しかし、大人になったラインハルトの横には、エリザベートはいない…。

 

ある日、二人にとっての思い出の地である湖の前にラインハルトは訪れていた。湖に月が浮かび上がる時、そこにエリザベートの姿を見たラインハルトは過去のことを思い出していた。幻想的な雰囲気の中で見た彼女。彼女の姿はラインハルトの中では美しいまま。森で過ごした幼い二人。クリスマスの日の出来事。進学する時に約束したこと。エリザベートとラインハルトはかなり密接に、多くの時間を過ごしていたはずなのに、なぜだかどこかで道が分かれてしまう。

 

 

長年文通も続けていた二人。ただ、途中で途絶えてしまい、そこから変わって行ってしまったのかもしれない。幼い恋はどう変わっていったのか。過去を振り返り、恋の行方を湖のほとりで思い出すラインハルト。描かれている言葉たちがとても美しく、幻想的なこの物語は、初恋の淡い気持ちを思い出させてくれる。誰もが経験したことのある初恋。きっと読めば、誰もが懐かしく感じることだろう。爽やかなのに、切ない気持ちが読んだ後に広がってくる。

 

「みずうみ」自体は77ページと短いので、すぐに読むことのできる物語である。ただ、たったその100ページにも満たない文章が、心に響く。他に収録されている物語、「マルテと彼女の時計」、「広間」、「林檎の熟するとき」、「遅咲きの薔薇」の四篇も、とてもきれいな言葉で、世界がきらきらとしている気がする。私は一番「みずうみ」が好きだが、「林檎の熟するとき」も好きな作品である。若い男女の逢瀬を邪魔する少年の物語なのであるが、やり取りが面白い。また青春の一ページを見ているような感覚があり、「みずうみ」とはまた違う印象のある作品だと思う。

 

(30代女性)

 

 

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