読書感想文「モンテ・クリスト伯(アレクサンドル・デュマ)」

船乗りだった主人公は幸福な境遇を妬まれ残酷な裏切りを受ける。八年間投獄されていた獄中仲間から財宝を受け継いだり様々な言語や知識を教授され脱獄後にはパリの社交界でも通用するほどに変身した。逮捕前に婚約パーティーまで開いておいて、主人公が帰って来ないからと他の男と結婚してしまったメルセデスにはがっかり。

骨のある女性として登場したのに。それと主人公の一人暮らしのお父さんを置いていってしまったのも何だかなあである。一人で亡くなる。しかも餓死だったと聞いて後々主人公の怒りが燃えあがる要因にもなった。格別の品の良さ、趣味の良さで伯爵は「大貴族」と呼ばれるようになる。彼に仕える側近の一人は無給!!奴隷市場で伯爵に買われ首を落とされるところを助かったからだ。

だが、伯爵は彼が舌を切られるところまでは待っていた。オシの召使が欲しかったから……各所に「残酷」が散りばめられている。伯爵が復讐の標的をすぐにあっさりとは消さない。詰めて詰めて運命のめぐりあわせの偶然なども手伝って、すっきりバッサリ復讐してゆく。獲物が自分から罠に入るように徐々に迫ってゆく過程が、ドキドキである。伯爵が危ないという場面はほぼ無く読者が安心して読み進められるのもこの本の魅力だ。

主要登場人物だけでなく、わき役も魅力がある。監獄から出された詐欺師が、美貌の青年貴族になって復讐の駒として使われる。カバルカンティーは愉快だ。愛人にどっぷりの貴族の妻。卑屈な旧友。真っ直ぐな超お坊ちゃまのアルベール。モンテクリスト伯の芯の友人モレロ大尉……ミステリー・サスペンスの要素は物語にとってとても大事な要素だと思い知らされた。

モンテクリスト伯はそれらの宝庫だ。故に今日も称賛され、どのドラマや映画も霞んでしまうといわれる由縁だ。冷酷非道な復讐の鬼だけど、生来の愛情深さがほの見えているとこが素敵だ。彼は復讐したい人間を殺すことに何の躊躇も無かったがその子供まで死んでしまうとい事態になるのを看過しなかった。財力だけでなく、遠慮と忍耐と知恵と愛で幾多の人達を救うこともある。八年間の苦悶。そして開放。「待て。而して希望せよ」この伯爵の言葉は重い。

 

(40代女性)

 

 


 

 

ドラマの影響で読んでみることにした。この本はとても長いのが特徴だ。日本語の翻訳のせいかもしれないが文体も古典らしく難しい。しかし、この話は決して時間の無駄ではないだろう。ストーリーは無実の罪を着せられて投獄された主人公エドモン・ダンテスがなぞの資産家モンテクリスト伯として自分を貶めたものに復讐するという物語だ。

しかし概要は復讐の話だが、物語の一部はラブストーリーで愛について語られている部分もある。全7巻のこの書籍は、後世の多くの作家に影響を与えた文学史に残る名作である。いわば古典文学の聖書といってもいいだろう。特に私は主人公のエドモンド・ダンテスが好きだ。物語の冒頭、彼は19歳で漁船の船長に選ばれ、周囲からも尊敬される存在だった。

加えてメルセデスという婚約者もいる順風満帆な若者として描かれている。しかしそんな彼を疎ましく思う周囲の小悪党が結託し、彼に無実の罪を着せて投獄してしまうのだ。そこで投獄されてから、モンテ・クリストとして復活するまでに穏やかだった彼の性格は大きく変わってしまう。小説ではその過程、描写が表現されている。こうした人が人生の荒波に揉まれて変わっていく様子を俯瞰して見ることができるのも、この小説の魅力の一つと言えるだろう。

モンテクリスト伯として復活した後は彼の復讐劇が始まる。読者である私たちがダンテスの復讐計画を知るようになると、物語は一気に展開し、彼がどのように復讐を遂げるのか?また彼の行いは本当に正しい行為なのかというところを考えさせられるのだ。そして、物語は良くも悪くもダンテスが復讐を順調に遂げていく様子だけが描写され、復讐が途中で破綻したりする描写は無い。

最後には彼を貶めた悪人たちが全て不幸になる結末を迎えるのだが、彼はエデという女性と結ばれ幸せなエンディングを迎える様子が書かれている。物語は徹底した主人公目線の物語で、復讐の是非が問われることは無いのだ。そのため読了後は爽快な気分になることは間違いない。しかし物語に没頭し、復讐は悪いことであり、ダンテスも何かしらの罰を受けなければいけないと考える人にとってはややモヤっとした展開かもしれない。そうした部分も含めて考えさせられる物語と感じた。

 

(20代男性)

 

 

 

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