読書感想文「星の王子さま – The Little Prince(サン・テグジュペリ)」

出だしはつまらない本だった。6歳の少年が大人に対いて抱く幻滅や大人に対する処世術を描写されても僕にはあまり響くものがない。だが、退屈な序章を過ぎると思いがけずに色鮮やかな世界が急に現れる。6歳の少年が抱いたであろう大人への幻滅、それを実に生き生きと愚かしくも愛らしさを感じさせるように描く。僕は王子様の目線から眺めた大人たちの愚かしさがとてもリアルなことに驚いた。 お金を貯めるためにお金を貯める大人。飲んだくれる現実から目を背けるために今日も飲んだくれる大人。そんな大人たちに対する王子様の視線、王子様が余計な解釈はつけずにただ端的に大人の不可解さに首をかしげるさまに僕は感じ入るものがあった。 子供の純粋な視線からは理解しがたいであろう大人の在り方、それを僕たち大人は色々な解釈をつける。飲んだくれが酒を飲まずにはいられない理由を様々な角度から部外者がぶった切り、目的もなく金をためて財産を増やすだけの空虚さに人生の意味を絡めて批評する。

僕らは色々と批評しすぎる。理解できないなら理解できないで、ただそれだけでいいのに、理解できないのに理解した気になって上から目線で手前勝手な意見を振りかざしたりして留飲を下げる。 違うものを受け入れられないの自分の心はピュアなせいなのだ、などと自己を擁護する声を聞くこともある。だが、それはただの正当化に過ぎない。違うものを受け入れられないだけであればわざわざ批判する必要もない。自分と違うものを受け入れないために種々雑多な理由をかき集めるのはピュアなのではなく、ただ防衛的な態度でしかないのだ。 ピュアな王子様を通し、ピュアでない自分を発見する。 誰しもが生まれた時はピュアな赤ん坊だった。しかし大人になるにつて、覚えなくていいことを覚え、覚えていなければならないことを忘れる。自己欺瞞が分厚い皮膚となり、ピュアだった心なんて簡単には見つけられない。 でも星の王子様を読むと、大切なものを思い出せる気がする。

 

(30代男性)

 

 

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