読書感想文「三国志(北方謙三)」

北方三国志を読んだ。普通に題名としては三国志なのですが、作者の名前をつけて、北方三国志と呼ばれているものだ。まず、この本でよかったのは、割と現実的なことで話を進めるということだ。三国志といえば鬼謀術数によって軍師が活躍する、一人で千人を相手にする猛将が戦うとかそうしたことが多いのだが、この北方三国志ではそうしたあまりにも非現実的なものはなかった。主人公としては劉備と曹操ではあるのですが割りと史実ではクソみたいな行動の孫権にもしっかりとした行動の原理が定まっており、かなり三国志フリークの人でも新しい感覚を楽しむことができるようなものになっていることは確かだ。かなり面白いと思ったのが騎馬での戦いである。このような形での騎馬の戦いというのは現実問題として三国時代にはなかったものだ。そもそもそんなに騎馬だけの部隊というのがありえないのである。

しかし、小説としてはやはり豪快に騎馬でぶつかって、陣を削っていく、分断していく、ということには爽快感があるのだ。そこがこの小説の一番面白い合戦シーンであるといえるのは間違いないことであろうと私は思うのだ。また、帝に対する考え方が実に日本人的なものになっている、というのも従来の三国志よりも面白いところであり、そこに劉備の魅力となっているのだと感じた。具体的には要するに帝とは象徴であるべきだ、ということが劉備の根底にはあった。曹操にはそれがないからこそ、やはり劉備フリークの人には堪らないわけだ。そこが魅力的な部分ではあるのですが、いろいろと人によって好みが分かれるところであろうと思うのである。三国志のような話しになると基本的に今後、どうなるのか、というのがはっきりとしているのだ。つまりは、展開が読めるわけですが、それでも楽しく読むことができたのはとても嬉しかった。何しろ、予期せぬ展開やそもそものキャラ付けが特殊であり、知っている三国志キャラとはよい意味でかけ離れていたのだ。

 

(30代男性)

 

 

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