「月の満ち欠け」の読書感想文①
全体のテーマとして人の生まれ変わり、前世の記憶について書かれていることに関心を持ち読み進めていった。私自身には前世の記憶は無いが、この小説を読む中でもしかすると輪廻転生と言う言葉は存在するのではないかと感じ始めたのである。
今ここで出会う人や物、場所は全て前世の自分に関連することで、だからこそ自分はそこに無意識の中で吸い寄せられているのでは無いかという気持ちにさせられる作品だったのだ。時々自分が初めて訪れるはずの場所や初めて出会うはずの人にどこかですでに体験したことがあるようなデジャブを感じることがある。
それはきっと前世の記憶にあるものなのだと思えたのである。そう思うことで自分の中で何かが腑に落ちて安心感を覚えたのだ。小説の中では長い年月をかけて何度も生まれ変わりを果たす女が出てくるが、仕草や生まれ持つ性質のようなものは姿は変わってもずっと同じく持ち続けている。
自分の中や家族の中にある価値観や物の見方、解釈の仕方、そして無意識に表れる仕草は輪廻転生を繰り返しても変わらずに持ち続けているのかもしれない。そのようにこの作品を読んで自分の中での考えが変わったのである。私は今まで心のどこかで死んでいくことを恐れていた。
それは死んで体が無くなってしまうことで自分と言う魂や記憶はそこに元々存在すらしなかったように一瞬で消えてしまうと思っていたからである。しかし前世の記憶、輪廻転生を通して人はまた過去生の繋がりを求めて愛すべき人たちやもの達に再開することが出来るのであればそれは素晴らしいことであり何も恐れることは無いのだと感じられたのだ。
人の生まれ代わりを月の満ち欠けと表現していることにもとても納得がいったのである。人の生まれ変わりは月の満ち欠けと同じように自然の摂理なのである。人間がこの宇宙に存在することも月の存在と同じで何も特別なことでは無くてとても自然なことなのである。
人も月も同じように宇宙の存在の一部であり、過去に起きたこともこれから起こることもすべて偶然では無くて必然なのだと前向きに感じることが出来た。
(30代女性)
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