読書感想文「狭小邸宅(新庄耕)」
この小説の主人公は不動産営業に従事する、若手社員である。都内の有名私立大学を卒業しつつも就職活動に失敗し、行き場がないがゆえに、学歴、職歴不問の不動産業界に入ったという消極的な人物で、不動産には何の思い入れも持っていない...
この小説の主人公は不動産営業に従事する、若手社員である。都内の有名私立大学を卒業しつつも就職活動に失敗し、行き場がないがゆえに、学歴、職歴不問の不動産業界に入ったという消極的な人物で、不動産には何の思い入れも持っていない...
船乗りだった主人公は幸福な境遇を妬まれ残酷な裏切りを受ける。八年間投獄されていた獄中仲間から財宝を受け継いだり様々な言語や知識を教授され脱獄後にはパリの社交界でも通用するほどに変身した。逮捕前に婚約パーティーまで開いてお...
「スロウハイツの神様」の読書感想文 主人公の環をはじめ、スロウハイツの住民がみんな魅力的だ。脚本家やイラストレータの卵、漫画家の卵など志が同じ者同士励ましたり、茶化しながら生活していてストーリー内にも出てくるがまるでトキ...
「デミアン」の読書感想文 ヘルマン・ヘッセは何となく読まず嫌いをして漠然と避けてきた作家だったが、今回この『デミアン』を読んでみて、もっと早く読めばよかったと後悔した。善の側を象徴する「明るい世界」と悪の側を象徴する「暗...
「タックスへイヴン Tax Haven」の読書感想文 本書はプライベートバンカーの不審死を皮切りに、脱サラした平凡な男・牧島が壮大な事件に待ちこまれていくサスペンス小説である。 この小説の序盤ではこの牧島と、牧島の元同級...
ある女死刑囚の知られざる過去となぜ死刑にならなくてはいけないほどの罪を犯してしまったのか。様々な人の視点からストーリーを紐解いていく小説である。まず主人公は死刑囚の田中幸乃。世間では事件をきっかけにマスコミなどにも取り上...
本作はノンフェクションで、21世紀に実際にあった冒険と、明かされた偉大な謎の文明について書いてある。殺人事件発生率世界一位と治安が極度に悪いのが最大の特徴で、それゆえ研究者やジャーナリストも足を踏み込みがたい南米ホンジュ...
バーベキューでの疎外感のシーンはとても共感できることが多々あった。なかなか直接的に言葉に表せない微妙な心境を言い表していて自分の中の嫌な思い出が当時の気持ちと一緒にありありと思い出された。そんなことは通常フィクションを読...
最近読んで感銘を受けた小説は花村萬月さんの「惜春」です。とあるネットの記事で爪切男さんの「死にたい夜にかぎって」が話題になっていて、そこで書店員さんがお勧めする中年男性に響く小説特集の中にこの本があり、興味があって読んだ...
「食堂かたつむり」の読書感想文 この作品は2010年に柴咲コウ主演で映画化されている。テレビCMを見てこの作品を知り、映画は観なかったものの原作が気になっていた。ここ数年、作者の小川糸さんをエッセイでお見かけすることが多...
「盲目的な恋と友情」の読書感想文 どうして女同士の友情は男との恋に勝てないのか。当たり前と言われればそれまでだが、漠然とそう思うことは少なくないと思う。この本は、盲目的な恋、およびそれに付随する盲目的な友情を描いた一冊で...
「ストロベリーナイト」の読書感想文 すごく汚い。一ページ目から二ページ目くらいまでを読んで真っ先に思った感想はこれだった。刑事モノでは良くある汚さ、グロテスクとはまた違う、汚物の汚さが目立つ内容から始まったこの作品をまさ...
「ホームレス中学生」の読書感想文 ホームレス中学生を読んでまず思ったことは、最低な親だなということだ。みんな強く生きていってください。解散!のところなんて、本当にふざけた父親だなと腹が立った。 公園で過ごしていたことも、...
「The Pearl」の読書感想文 ”The Pearl”(和訳タイトル「真珠」)は1947年にアメリカの著者John=Steinbeck(ジョン=スタインベック)によって書かれた作品である。英語の短編小説、情景描写が繊...
「闇の花道―天切り松 闇がたり」の読書感想文 実はこの作品を読むまでは浅田次郎先生の作品を読んだことがなかった。人に勧められて「義理人情もの好きだろう」といつもならば江戸ものを貸してくれる友人が珍しく違う時代のものを貸し...
「星の王子さま – The Little Prince」の読書感想文① 概念を具現化するためには、言葉や文で表す以外方法がない。『大切なものは目には見えない』なんてありふれた言葉であろうか。しかし、今でこそあ...
「三国志」の読書感想文 北方三国志を読んだ。普通に題名としては三国志なのですが、作者の名前をつけて、北方三国志と呼ばれているものだ。まず、この本でよかったのは、割と現実的なことで話を進めるということだ。三国志といえば鬼謀...
とてもポップで、色彩鮮やかな小説だ。無論白紙に黒インクで書かれてはいるが、呼んでみるとピンク、赤、パステルカラーといった色合いが次々と頭に浮かんでくるのだ。その理由は、この小説のキーアイテムにロリータファッションが用いら...
ルーシー・モンゴメリ原作「赤毛のアン」シリーズを翻訳家村岡花子が主人公。その少女時代に貧しい農村から東京のミッションスクールで寮生活を送ることになる冒頭から面白い。「髪には、おリボンつけなくは…」上流階級の子女に混じって...
「鬼談百景」の読書感想文 これは十二国記や屍鬼で有名な小野不由美さんの作品であり、百物語となっている。構成としては短くて1ページとうかたった6行、長くて5ページ程の短編話の集まりである。一気にがっつり読むのでは無く、一話...