読書感想文「未必のマクベス(早瀬耕)」

文庫化で書店に平積みされており、帯に書いてあった「あなたは初恋の人の名前を検索したことがありますか?」という言葉に惹かれて購入してみた。普段私は一ヶ月に1~2冊程の本をゆっくり読むのが習慣となっているのだが、その本はその日のうちに読了してしまった。

 

おもしろいのは言うまでもなく、ミステリーと恋愛とが絶妙に織り交ぜられた、なんとも詩的ですごく心地よい読み味だった。どういった本なのかと聞かれたら、ミステリーと恋愛のジャンルであると答えるしかないのだが、それ以上の感情があるのに言葉がうまくみつからないもどかしさがある。

 

 

ざっくりしたあらすじとしては、主人公が会社の陰謀に巻き込まれ命のやりとりをしていくのだが、そこに信頼する同僚と出世争いをする同僚、そして初恋の女性や妻の存在等を交えながら、巨大な組織を打倒すべく終局に向かって物語が進んでいく。随所に張り巡らされた伏線を紐解きながら読み進めていくのだが、そのちょうどよい難解さが私としては大変心地よく、少しページを戻ったり、読み返したりしながら理解できた時の快感がたまらないのである。

 

そして本作のポイントは、なによりシェイクスピアの名作マクベスの物語をなぞっている点である。マクベスという物語を知っていても知らなくても、偶然か必然かその運命に吸い寄せられていくその様がおもしろい。従う者がいれば、抗う者もいる、その人間たる様がとてもおもしろい。予想と裏切りと納得の中で物語が終局を迎えた時、すさまじい読後の高揚感があった。

 

それぞれのキャラクターがこれでもかと存在感を放ち、架空の人物ながら、そんな彼らの人生や生き様を見た気がする。早瀬耕氏はこれで2作目の作家なのだが、セリフの言い回しがとにかくうまい。オシャレで、少しキザで、とても現実ではあんなふうに同僚や女性達と小粋な冗談等は言えないのでが、ついつい頭のなかで想像してニヤけてしまう自分がいた。

 

作中で、主人公が全編通してこだわりのお酒を飲み続けるのだが、私も今度洒落たバーでそのお酒を頼んでみようと思う。きっとまたあの読後の高揚感を思い出すだろう。

 

(20代男性)

 

 

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