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読書感想文「報われない人間は永遠に報われない(李龍徳)」

タイトルに強く惹かれて私はこの本を手に取った。自分自身今まで何をしても報われず、どこまでいっても自分は不幸なままなのでは、と疑っていたからだ。しかし実際に読んでみて感じたことは、報われないという人間は、報われるべき努力や思考を放棄してしまっている、ということであった。
 
主人公たちもストーリーの始まりには、比較的どこにでもいる類の若者で、まだ圧倒的な絶望や孤独を知らないのである。それがなぜ結果的に報われない人間となってしまうのか、それはある種の現代人における防衛本能なのではないかと私は考えた。
 
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深く人と関わりを持ち信頼を築くことや、目標を定めてそれに向かいあらゆる苦労を惜しまないこと、それらは特別なことではなく、私たちが子供の頃から、当たり前のように日常生活の中で実践してきたことである。学生であれば、協調性をもちながら体育祭や文化祭といったイベントに参加し、またよりよい人生のため受験や就職活動に精を出す。
 
しかしそういった一定の守られた場所から出て社会人になると、それまであらゆることを怠けていた人間は、自分の力だけでは今まで当たり前とされていたことが何一つ実践出来ないと思い知るのである。人と関わりを持つということは、素晴らしい反面、トラブルを招く可能性もまた強く、なによりも友情や恋は心を傷つける危険性が高い。
 
そしてこれまであらゆる努力を怠ってきた人間には、もちろん社会からの評価はなく、色々な場面で思うような動きがとれないのだ。そうなってしまえば人間は、ただ傷つかないように他人とは距離を置き、本来幸福を招くはずの信頼や人間関係の全てを忌み嫌い、その呪いによって自分の身を守る他なくなってしまうのだ。
 
傷つかないように、自分の無能さを知られないように、そうやって生きていくのはその瞬間瞬間は楽で簡単だが、最終的には報われない人間になるのだと私はこの本から感じたのである。私は自分を守るためだけの楽な生き方から脱却し、報われるべき人間になろうとこの本を心の隅に置いて生きていくのであった。
 
(20代女性)
 
 
 
 

報われない人間は永遠に報われない
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