読書感想文「スタンフォードの自分を変える教室(ケリー・マクゴニガル)」

本著はスタンフォード大学の心理学者であるケリーマクゴナガル女史による、自分をコントロールする技術を解説したものである。著者はスタンフォード大学で「意志力の科学」という公開講座を開いており、そこでは心理学、経済学、神経科学、医学の分野からの自己コントロールに関する知見を取り上げ実践させている。

 

その効果は非常に絶大で、受講生の97%が1か月後のアンケートで自分自身の行動がよく理解できるようになったと答えるほどである。この本を印象的づけるのは、その科学的知見に基づいた方法論の数々である。自己コントロールというと、日本においては古くから根付いていると感じる人が多いはずである。

 

 

日本では「鬱になるのは根性がないから」であるとか、「禁煙できないなんて根性なしの言い訳だ」などという言葉があふれていると感じられる。本書で紹介される方法はすべて科学的知見に基づいているが、その根幹にあるのは自己コントロールを強化するための最もよい方法は、自分がどのように、そしてなぜ自制心を失っていしまうのかを理解することにある、という筆者の考え方によるものだと考えられる。

 

すなわち、根性論的な思考停止に陥らずに、なぜ人体はそのような状態に陥るのかを科学的に捉え、分析し、打開策を打ち出すということになる。したがって本書の中身で紹介されているものは、自己コントロールの科学の産物であるといえるだろう。

 

自己コントロールの中枢は脳にあることは疑いようがないため、本書では多くが神経生理学、すなわち脳のはたらきの解説とそれから得られる現実的な方法論の紹介に充てられている。脳のはたらきの解説というと、一見して専門用語が並び理解しがたい印象を受けてしまうかもしれない。

 

しかし本書で紹介されている内容は具体的な実験とその結果、その結果から得られた知見というように、なぜそれが分かったのかという歴史が平易な口語体で記述されている。そのため特に専門知識がなくてもすんなりと理解していくことができる。

 

自分をコントロールして良い習慣を身につけたいと思っている人や、巷にあふれる根性論に辟易としてきた人にはぜひ一度読んでもらいたい本であるといえる。一見して陳腐な自己啓発本のような印象を受けるタイトルではあるが、実際は実に科学的な本であるのだ。

 

(20代男性)

 

 

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