読書感想文「ボクの音楽武者修行(小澤征爾)」

今やもう有名な日本の指揮者である小澤征爾さんがまだ若かりし頃に書いた本である。最初に出版されたのは昭和55年ということだから、かなりお若い頃にこの本を書いたのだと思う。

 

彼が日本を離れ、ヨーロッパで一人コンクールに挑戦し、優勝。その後カラヤン、バーンスタインなど、これまた有名な指揮者との交流をし、その後ニューヨークフィルの副指揮者に就任する。また、日本へ帰省した時の話など、小澤征爾視点で書かれた本だ。

 

当時はまだ海外旅行など行く人はかなり珍しかっただろう。船で日本を出発し何日もかけてヨーロッパへと向かったのだ。しかし、彼は船員とも仲良くなり、この本を読むと長く辛そうな船旅も楽しそうな旅の始まりに感じる。

 

 

途中寄港する街でもそれぞれの文化を楽しみ、自分の一部にしていったのかもしれない。日本のスクーターを持ってヨーロッパへ向かった小澤青年。マルセイユに到着した際、このスクーターが税関でかなり時間を食う元となったようだが、その後スクーターでヨーロッパを回るのはとても面白そうな感じがした。

 

スクーターのほうが車よりも良かったということを彼も書いている。ヨーロッパの景色の見え方が、スクーターと車では違うようだ。とにかく彼はその時を楽しんでいる。留学生同士の交流、音楽家同士での交流、現地の人との交流。自分だったら不安だらけで、もしかしたら内にこもって交流などしないまま帰ってきてしまうかもしれない。

 

彼は積極的にヨーロッパ各地をスクーターとともに旅をしている。時にはホームシックになりながらも。しかしながら、彼はやはり才能があったのだなと、感じざるをおえない。ブザンソンの国際指揮者コンクールに参加したのは各国の有望な指揮者たちばかり。その中で優勝するのは簡単ではないはずなのに、この本を読むと意外とあっさりと書かれている。

 

その後、彼は有名な指揮者たちの弟子となり各国を巡りその実力を磨いていくのだが。才能と人柄の良さが彼を上り詰めさせたのだろうと思う。自分には才能はないかもしれないが、人柄は彼をマネすることができるはずだ。

 

この本を読むと、彼の才能の素晴らしさを感じるが、同時に愛されるキャラクターの小澤征爾にも強く嫉妬してしまう。言葉遣いが柔らかくて、彼と接する人間は嫌な気持ちになどならないのだろうと感じる。自分も人に対する態度を改めようと思える。そんな本でもある。

 

(30代女性)

 

 

 

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