本書は最初の一文で引き込まれた。金色の空の下を連れ立って歩くエミリー・デーヴィスとドリー・クレアの2人が金色の空の下を連れ立って散策する姿から始まるのである。時々道端の真っ赤な野ばらの実を見たりスイカズラの枝を手折るために立ち止まる場面は絵画のように美しい。
2人は村の学校時代からの親友。それぞれ教職について独身生活を営んでいたが、退職後にドリーのコテージにエミリーが引っ越してからは、楽しい同居生活を送っているのである。夫を持たない女性は両親が亡くなると心細くなるものだが、気の置けない友人が一緒なら安心である。
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散策の場面の後にエミリーとドリーの出会いと今までの人生について綴った後、翌朝エミリーが亡くなるまで描写され、エミリーと彼女が生前関わった人達のエピソードに続いている。著者のミス・リードはエミリーと同様教職の経験があり、田園地帯の生活も経験しているが、今より女性の自立が困難な時代にエミリーが独身を貫いた事を書いたのはとても格好良いと思う。
エミリーは村の学校で教職に全身全霊で取り組み、校長を任されるまでになったが、それは彼女が村の子供達に豊かな愛情を注いだ結果なのだ。私が彼女の立場なら年老いた母親の世話をするだけでもいっぱいいっぱいになるかもしれないが、学校の子供達だけでなくその家族や若い女性の新任教師まで面倒を見るのは、エミリーの器が大きい証拠である。
独身女性は育児の経験がないと子供の教育が出来ないと軽視されがちだと思えるが、その懸念を見事に払拭したのだ。エミリーの長所は口が堅い所である。全ての人間関係においてタブーとされるのは秘密だと言われた事項に関して絶対に言わない事だが、彼女はそれを実践出来る。
生徒が将来の夢を持って自分が望む道に進めるように的確な助言を与える事が出来るし、自分の考えを押し付ける事はない。子供だけでなくその親にも信頼されているのはそのせいだろう。エミリーは本の登場人物だけでなく私にとっても良い教師である事は間違いない。
(40代女性)
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