「じぶん・この不思議な存在」の読書感想文
「じぶんとは何か」「じぶんとは誰なのか」私は何度も自分に問いかけてきた。特に辛いことがあったり、悩んだりすると、この問いが浮かんでくる。そしていつも、「自分は何者でもない」という結論に達する。明るい、友達が多い、旅行が好き、人前で話すのが得意・・・など、もちろん色々な特徴は持っている。
だけどそれは私特有のものではなく、「じぶん」を規定するにはあまりにも弱い特徴だ。「私の代わりなんていくらでもいて、だったら私がここに存在している意味は何なんだろう。」その問いにぶつかってしまうと、未来への選択にも自信が無くなってしまう。この本を読んで、私の中で何度も巡らせてきた問いに一つの答えを得ることができた。
筆者は、「じぶんとは何か」という問いを、「じぶん」に対して問いかけることは間違っていると述べている。たくさんの具体例を挙げながらの説明にとても納得したし、心がどんどん軽くなっていった。「そうそう、そういう風に考えてしんどくなるんだよね。
だけど確かにその考え方自体が論理的では無かったんだな」、そんな風に感じられた。この本の結論は、「じぶんとは他者によって規定されるのだから、じぶんとは何かをじぶに問うても意味が無い。じぶんは誰にとっての他者であるのか、と考えるべきだ」というもの。本当にその通りだと感じた。人とは違う自分を見つけることはとても難しいことだと思う。
だけど、「私はあの人にとって〇〇な存在だ」ということは明確に考えられるし、答えがある問いになると思う。そして自分が一人で完結している存在ではない以上、そのように問うことが正しいと思えた。他者にとっての他者であること。それが自分で自分を確認できるたった一つの方法なのだと思う。
それ以外で「自分にはこんな特徴がある」と結論づけることは思い上がりでしかないし、「自分には何もない」と思い込むことも論理的では無い。私がずっと抱き続けていた問いに一つの解が見つかったような気がしてとてもすっきりした。もう、堂々巡りの問いに悩み続けることはやめようと思う。
(20代女性)
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