「メアリと魔女の花」の読書感想文
この本に興味を持ったのは現在公開中の映画「メアリと魔女の花」のこの本に興味を持ったのは現在公開中の映画「メアリと魔女の花」の原作だからである。メアリーは自分を何のとりえもないと思い込んでいる女の子。彼女は夏休みに一人で大おばが住む赤い館村の屋敷に行く事になった。
いくら親戚の家でも、たった一人で今まで一度も行った事がない家に行くのはわくわくするはず。きっと素敵な事が待っているという期待を抱くだろう。私もメアリーがどんな所に行くのか楽しみにしていたが、いざ屋敷に行ってみると年老いた大おばの他に使用人達がいるだけ。赤い館村は田舎で屋敷の周りを森が取り囲んでいるので、メアリーは一人でどうやって過ごして良いかわからない。
同じくらいの子供がいれば色々と遊んだり出来るのかもしれないが、そのような子供がいないのである。私は彼女に同情したが、そんな生活がある日を境に見違えるようになるのだ。今までの生活を空模様に例えると、それまでの退屈な生活は曇り空だが、それがあっという間に青空に変わる。
メアリーが森の中を散歩していると黒猫のティブが彼女の目の前に現れる。ティブに導かれるままに行った先には紫色の花を見つけるが、その花は「夜間飛行」という魔法の花である事を知るのである。夜間飛行の花の汁や花粉には魔力があり、それらをつけると庭にある古いほうきでもメアリーを乗せて空を飛ぶ事が出来る。
メアリーを乗せたほうきは魔法大学に到着し、そこの校長マンブルチュークや生徒達との出会いに加え少年ピーターとの交流など、様々な体験をする事になるのである。マンブルチュークはメアリーを勧誘して魔法大学に入学させようとするが、その目的は魔力がある黒猫ティブだったのだ。
私が一番面白いと思ったのは、メアリーと黒猫ティブと少年ピーターがマンブルチュークから逃れるために猛スピードでほうきを操る所である。魔法大学には動物達が実験のために沢山囚われの身となっていたが、鹿や鳥などが逃げる彼女達の姿を隠し盾になって野原を走る場面は壮観さを感じさせるほど迫力があり、私もメアリーと一緒になって逃げている気分になった。
魔法の力というものは私たちから遠く離れた世界の出来事だが、この本を読んでいると壁一枚くらいしか隔たりのない世界にあると思える。メアリーのように新しい体験に対して尻込みをせずに挑戦をする時にこそ、魔法の瞬間が訪れる。読むと勇気が湧いてくる本である。
(40代女性)
(^_^)
(´・ω・)