読書感想文「犬と人をつなぐ―ドッグトレーナー宮忠臣(井上こみち)」

今年3月に「きな子〜見習い警察犬の物語」のラブラドルレトリバーのきな子が亡くなった。何度も何度も警察犬の試験に失敗するきな子の姿に多くの人が励まされる素晴らしい映画だ。この映画のドッグトレーナーの物語があると知って「犬と人をつなぐ」を読んでみた。そのドッグトレーナーの名は宮忠臣。

 

映画「南極物語」でタロ、ジロなどの犬の指導で一躍ドッグトレーナーとして有名になった。他にも手がけた作品は「ハチ公物語」、「犬と私の十の約束」、「マリと子犬の物語」など多数ある。まず私がびっくりしたのはこんなにたくさんの作品を手がけたのに最初は電気製品メーカーに就職してテレビや冷蔵庫などの注文をとる営業の仕事をしていたことだ。

 

幼いころは長野県の自然に囲まれて親鳥からはぐれたタカの子どもを育てたり、長野の山に住む野鳥にとてもくわしくなったそうだ。中学生の時にシェパードという種類の犬に興味をもったものの高くて飼うことはできず、高校卒業後に電気メーカーに就職したらしい。

 

 

 

しかしやはり物足りず、ある日警察犬訓練所の見習い訓練士募集という広告に飛びつきがんばって見習い訓練士になることができたのだ。夢をあきらめないことは大事だと改めて思う。しかし大好きな犬との仕事とはいえ朝4時起きで犬舎の掃除、犬のエサやり、散歩と訓練の合間にも山のような仕事で不安な日々。

 

二年目になってようやくカリマというブラックシェパードの訓練をまかされる。一方的な思いを押しつけるのでなく犬の気持ちになって訓練がうまくいった時はボールで遊んだりしてなんとかお互いの気持ちが通じるようになった時、ジステンバーという伝染病にかかってしまう。

 

必死の看病で回復し、その時犬にも相手の気持ちを理解する心があることを知ったそうだ。その後、カリマは警察犬の全国競技大会に出場し、600頭中準優勝の好成績をおさめることができた。それから宮さんはたくさんの犬を訓練し経験を積んで独立した自分の訓練所を持ち、映画「南極物語」のヒットにつながったのだ。

 

映画の仕事を通して犬の持つ人をいやす能力に魅力を感じるようになり、犬の存在そのものが人の心や体によい影響があることにきづいたそうである。現在宮さんは映画に出演した犬といろいろな施設や病院にでかけてドッグセラピーという活動をしている。

 

そこではリハビリで手の動かなかったお年寄りが犬の頭をなでようとして手が動かせるようになったり、今まで無表情だった人が笑うようになったり、みんな犬の力に驚いているという。この本はドッグトレーナー宮さんの犬との絆の物語だったが、私は犬だけでなくいろいろな動物にも人の心をいやす力があると思う。

 

宮さんの「動物と気持ちを通い合わせるための努力や工夫」や「動物と触れ合うことで感じる喜び」がたくさんの人に伝わって幸せになることを願っている。

 

(50代女性)

 

 

 

 

犬と人をつなぐ―ドッグトレーナー宮忠臣 (ヒューマンノンフィクション)
井上 こみち
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