読書感想文「無冠の男 松方弘樹伝(松方弘樹、伊藤彰彦)」

私が「無冠の男」を読んでみての感想は、昭和を彩り、美空ひばりなどと幾多のスターと共演し、一般的には名前が通っているが、「賞」というものに無縁で、結婚・離婚、暴力団との関係、映画の失敗の借金などで波乱の生涯を送った松方弘樹の生涯を本人のロングランインタビューを交えながら、幼少期時代から丁寧に描いた作品が本作品だ。

 

幼少期、映画スターだった近衛十四郎の長男として生まれ、戦時下の映画統制のおかげで、時代劇映画が撮れなくなり、大衆演劇として全国津々浦々を回り、十四郎が戦争に兵隊に取られると、大映の女優であった母親と一緒に回って生活の糧にしている。

 

この時、理不尽な戦争によって、映画という文化も戦争の道具とされ、映画のスターといえども、戦争によって塗炭の苦しみを味わう。ということを感じた。

 

 

戦後、十四郎が復員し、東映の時代劇スターとなり、弘樹も最初は歌手を目指しながら、五木ひろしという存在のおかげで断念し、東映の社長から半ば強引に映画界に入ることになるのだが、この場面で、人生というものは、自らの希望通りに行かなくても、人や出来事によって導かれるということがある。ということを思った。

 

この後、主演作品と松方弘樹との関係が書かれていくのだが、近衛十四郎がなかなか弘樹を認めなかったことで、役づくりの面においても一生懸命にしていくのだが、私は、父親の十四郎が「厳しく」といった親の面を持ち合わせながら、俳優としての「ライバル」といった面も持ち合わせ、俳優としての嫉妬という面も持ち合わせいたと思った。

 

デビュー作から、いろいろな作品を読んでいくと、十四郎の息子としての主役抜擢から、本来は人見知りの性格、というマイナス面もあり苦労するのですが、こうゆう中にも人生の努力、あがいている姿がみてとられ、滑稽であるが必要なことだと考えさせられた。

 

その後、ビートたけしとの出会いによってバラエティー界に進出し、親しみやすいキャラクターにもなっていくのですが、「人との出会いが大切」、いうことも感じ、周囲が反対という声もよそに自分の判断もどういうことを思ってきめたのか。と聞いてみたいと思った。

 

その後は、借金、事務所移籍、不倫など俳優、松方弘樹の「落日の章」ともいうべきことも書かれていますが、松方弘樹という人がどのような事があっても、少なくとも私の心には琴線を鳴らし続けていると感じる。

 

私はこのような俳優のようには生きられません。しかし、いつまでも昭和を中心に活躍したスターと心の記憶の中に刻み続ける人だと思う。

 

(40代男性)

 

 

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