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読書感想文「ムーン・パレス(ポール・オースター)」

「ムーン・パレス」の読書感想文

私がこの作品と出会ったのは、私が28歳で社会人5年目、バリバリと働いていた頃のことです。もともと私は読書が好きで、京極夏彦や宮部みゆき、東野圭吾等の日本のミステリー小説を読むのが唯一の趣味となっていました。
 
いつしか同僚と趣味の話になり、私と同じ様に読書をする人からこのポールオースターのムーンパレス(訳者柴田元幸)の紹介を受けたのです。アメリカ文学と言えば、読み馴染みのない、読んで疲れる印象があるのではと先入観を持って読み始めましたが、この作品はそんなことありませんでした。
 
読んで率直な感想と言うと、あと10年若い頃に読んでいれば受ける感想とか、自分の人生に対する考え方、意識が変わっていたのかもしれないなとまず思いました。この作品を一言で表すと、不器用な若者の青春です。 
 
主人公の若者は大学生時代から、若者らしい勢いと、若者らしい欲に従順なところで生きていますが、案の定、全てが自分の思い通りなるはずなく、何故そんな選択をするの?と普通なら考える、自分にマイナスの選択を敢えてするのです。
 
これは、大人になって社会に揉まれ、ある程度のことを当たり前に我慢することができるようにやってしまっては到底思いつかない表現で、その若者だからこそ考えつくような表現が見事に描かれているのです。
 
私にも、大きな挫折こそありませんでしたが、世の中に対する不満とか、社会に揉まれて感じた不合理さは人並みに感じてきたところですが、若いころにこの作品に出会えていれば、もう少し自由に行動して、自分を見つめ直すことができたのかなと思うのです。
 
結局のところ、凡人の1人が何をしようと世の中の何かを変えることも、他人の何かを変えることもできませんが、それでも、人として生きるには主人公がしたような選択も総合的に見ると良いものだと思うのです。人はそれぞれに考え方や思いがあって行動をしていること。
 
人の全ての行動が自分に理解のできるものでは限らないこと。一見して不合理だとしても、それが誤りとは誰しも判断ができないことが世の中には満ちていることを私はこの本から教わりました。
 
(20代男性)

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