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読書感想文「アイの物語(山本弘)」

読み終わって一番に思ったことは、本来人と人の関係もこういうものなのだろうなということだった。本著「アイの物語」はAI(人工知能)と人間の関係をえがいたSF作品だ。アイビスというロボットが人間である主人公にいくつかの物語を話していくという形で物語が進んでいくのだが、そのどれもがAIと人間を題材にした物語だ。
 
物語ごとに出てくるAIは様々で、ゲームの中のAIや、介護用ロボットに搭載されたAIなどが出てくるのだが、読みながら、どれも「違い」を感じた。「違い」というは考え方だったり、物のとらえ方であったりが人間とは違うということで、それがこの作品の根幹になっているのだった。
 
人間とは違う考え方や価値観を持っているAI達なのだが、作品の中では人間達と衝突しながら、お互いを認め合って暮らしていく。理解できないから相手を否定するというのは創作に限らず、現実の社会にありふれたことなのだが、この作品内でAIと人間はお互いに理解できないまま、それでも相手を許容しているのが印象的だった。
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作品中にAIが人間に愛を伝えるシーンがあり、AIが「あなたに対する愛は3プラス10iだ」と伝えている。もちろん言われた側も、人間である読者にとっても意味不明の表現であるのだが、AIは「理解できなくていい、ただ許容して」と続ける。理解できないことが問題なのではなく、許容するかしないかなのだと。
 
作品中ではAIと人間だが、読みながらこれは現実の人間関係でも言えることだよなと思った。社会に出ればいろいろな人がいて、理解できる人もいればできない人もいる。そしてトラブルになりやすいい人というのは理解できない人のほうだったりするのだ。
 
私も人間関係で悩んでいた時期ということもあって、何を考えているのかわからない人っているよな、でも無理に理解しようと思わなくていいのか、「そういう人なんだ」と思って許容すればいいのかと思えて、少し気持ちが楽になったことを覚えている。読んでいて楽しいだけでなく、いろいろと考えさせられる作品だった。
 
(20代男性)
 
 
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