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読書感想文「ライ麦畑でつかまえて(J.D.サリンジャー)」

 
私がその本を初めて読んだのは十六歳の時だった。その本の主人公ホールデン・コールフィールドも私と同じ十六歳の少年だった。私はたまたま兄に勧められて読んだだけなのだが、私にとっては、今でも心に強く残るとても大切な作品である。
 
とにかく共感することが多かった。この本が出版された当初は「主人公がクレイジーだ!」などという批判を受けていたそうだが、私はちっともそうは思わなかった。例えば、勉学において劣等感を持っているところ。そのくせ本はたくさん読むところ。兄弟には秀才が多いこと。そして何よりも人間関係に強く悩んでいたところだ。
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ホールデンはとても寂しがりやだった。だからこそとがった態度をとってしまったり、友達のことを見下したような批判的な言葉も多い。だけどそれでも、私から見ればホールデンはとても優しい少年だった。
 
ホールデンにはフィービーという小さな妹がいる。私がこの本で好きなシーンは大体フィービーが登場して、ホールデンと何気ない会話をするシーンだ。特に、ホールデンの家出について行くと言い、大きなカバンを持って現れたフィービーをホールデンが叱りつけるシーンがある。
 
その後の、怒ったフィービーと二人でとぼとぼ歩くシーンは何よりも好きだった。読めばいつも、穏やかで優しい気持ちにしてくれる。ホールデンに怒っているから道の反対側を歩くフィービー。でも決して離れ過ぎない程度に歩くところ。それを分かっていて気にしながら歩くホールデン。その幼い二人の空気感がたまらなく可愛く思えた。
 
もう一つ、この本には大切なシーンがある。それはホールデンの学校の先生であるアントリーニ先生との会話のシーンである。ホールデンが言葉にならない悩みを不器用ながらにも真面目に先生に伝えようとする。そしてそれを真剣に聞き、ホールデンにアドバイスをするシーン。
 
私が読んで感じたことは、きっとホールデンは十六歳当時のサリンジャーであり、アントリーニ先生はこの「ライ麦畑でつかまえて」を執筆した時の二十代後半のサリンジャー自身ではないかということだ。
 
過去の自分の姿と向き合って、色々な経験を得た十年後に教えられる何かを伝えようとしていたのではないかということである。私もいま二十八歳。もう十二年もこの本を持ち歩いている。自分のことを見失いそうになった時にはこの本を開いて好きなシーンを読むと、自分のことを再確認出来る気がするのだ。
 
(20代男性)
 
 
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