読書感想文「ヘビメタ中年! (荒木源)」

この秋に杏さんが主演で映画が公開された『オケ老人!』のスピンオフというかサイドストーリーという位置付けの作品で、『オケ老人!』がド下手クソな老人ばかりのオーケストラが練習を重ねて大成する話であるのに対し、『ヘビメタ中年!』は高校時代にバンドを組んでいた仲間同士がいわゆるオッさんになってからバンドを再結成し活動していたが、
 
各メンバー毎にオムニバス形式でのエピソードが用意されていて、最終的に1つの形となってエンディングを迎える感じのお話。題材がメタルバンドをやっているオッさん達の話なので、本格的なミステリー小説でもなければ、中高生が心をときめかせて読むような甘いラブロマンス小説でもなく、

 
 
ましてやヒーローやヒロインが大活躍するような空想活劇的なSF小説でもないので話自体は退屈で現実的な大人社会の夢の無い平凡な世界のように感じるのは否めないし、人によってはタイトル段階から毛嫌いして読まない人や興味も持たずに素通りする人も少なくないでしょう。
 
ただ、読んでみると不思議な作品で、冒頭はヴォーカルで医者を職業にする男の話がちょっとしたサスペンス的な話で描かれたと思えば、ギタリストの話、ベーシストの話、ドラマーの話と全てが別々のテイストの切り口で書かれ、最終的には最後の最後まで正体を表さなかった。
 
しかし高校時代にバンドを組んでいた時に1人違う道を選んだもう1人のギタリストが全ての話に関与していたというオチでラストはバンドを組んだ時のオリジナルのメンバーに戻って日々平凡な生活をしつつもメタルバンドを続けてますよという大団円を迎えるあたりに奇妙な感動を覚えてしまう。
 
なんというか、全編に渡って専門的な音楽用語が出てきたりしない分、オッさんになって若い時の勢いが無くなったとしても好きな事は好きとして続けていたり、オッさん達が身の丈に合った世界の中で大袈裟でない夢を大切にして伸び伸びと生きているような空気感があってホッとする感覚や、
 
昔の小学生なんかが仲間同士で放課後に秘密基地を作って仲間と夢や秘密を共有するのを楽しんだようなワクワクしてしまう昂揚感があり気持ち良く読み終える事ができたかな?と思えた。
 
(40代男性)
 
 
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