読書感想文「奥能登に吹く殺意の風(西村京太郎)」

この本は西村京太郎さんのミステリー小説だが、序盤の北条早苗という女性刑事が、仕事に対してやりがいを見失ってしまう描写が非常に印象深い。刑事という仕事は傍から見るとやりがいの塊のような仕事に感じるし、スリリングで毎回違った事件に遭遇し、飽きない仕事ではないかと思っていたが、北条刑事は「このまま犯人を逮捕し続けても犯罪はずっとなくならない。
 
自分のしている仕事に意味があるのか?」と、疑問を持ってしまう。犯人逮捕と言っても色々パターンはありそうなものの、広い目で見たら、いくら犯人を逮捕しても犯罪撲滅につながらないかもと思った時に、自分の犯人を捜査・逮捕するという一連のルーティンワークが、いきなりくだらない虚しいものに思えてしまったのかもしれない。

 
 
こういう心理は、若い時分にはよくあるのではないだろうか。私は非常にこの北条刑事の心情に共感を覚えた。仕事のやりがいや生きがいとは何だろう、福利厚生やお金さえもらえればどうでもいいと割り切れれば良いが、人はある程度仕事に手ごたえややりがい、社会貢献度を感じられないと、続けられないのではないかと痛感した。
 
北条刑事は自分をリセットさせるために休暇を取った先で事件に巻き込まれ、悩む間もなく刑事魂に火が付き、迷っていたことなど忘れてしまったかのように危険な捜査にも参加する。一時悩んでいても、それどころではない案件にぶち当たると、ブロ意識がふつふつ湧き上がって、やっぱり自分は警察官なのだ、刑事なのだと再認識できる。
 
迷ってはいても下地にあるプロとしてのプライドが、北条刑事を刑事の世界に呼び戻した感覚というのも非常に共感が持てた。犯人は意外にも大きな組織で捜査が難航するが、序盤「警察を辞めよう」とすら思っていた北条刑事が大活躍する姿は本当に頼もしく、スランプから解消されて一層生き生きと活躍している姿が勇ましい。
 
私も北条刑事のように、少々悩むことがあっても、自分がプロとしてまっすぐ突き進めるような職業についてみたい。そんな気持ちにさせられた。
 
(40代女性)
 
 
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