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読書感想文「大五郎は天使のはねをつけた(大谷淳子)」

この本は、私がまだ小学生のころ、NHKの特番で、公害の犠牲によって手足の欠損など奇形を伴って生まれてきた猿の特集をしており、その番組の書籍化として手に取ったのが最初だった。初版はもう30年以上前の書籍であるが、強烈に印象に残っており、一度手放した後もどうしても読みたくなり、インターネットで探してやっと手に入れた書籍だった。
 
カメラマンのご主人が連れてきた、手足が欠損している猿の赤ちゃんを育てることにした大谷さん一家の、何気ない日常と苦労、そして公害の恐ろしさを訴える書籍である。今でこそ環境基準が厳しくなり、滅多に公害で健康を害することなどなくなったが、昭和時代、汚水や光化学スモッグなど、公害は当たり前のようにあったし、人間だけではなく猿などの動物も、その犠牲として健康をむしばまれていた。
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私がこの本が好きな理由として、ただ公害を糾弾するための社会への警鐘という意味合いだけではなく、子猿の大五郎が手足が不自由でも一生懸命動き回って「大谷一家の息子」としてふるまっている姿、大谷さん一家も人間の赤ちゃんと変わりなく、実の息子のように大五郎に愛情を注いでいる様子に胸を打たれた。
 
この本を再度手に入れた時に、私はちょうど勤め先の改革で過労がかさみ、心身ともに疲れ果て、体調不良になり、仕事を休まざるを得なくなってしまった。やりたいことややれていたことが、気鬱や不安、パニックで出来なくなると、本当に落ち込んでしまう。
 
しかし、そんな時に、手足に障害があっても、与えられた自分の命を精一杯生き、家族とともに「今」を必死に生きていた大五郎のことを思い出すと、こんなことで落ち込んでいる場合ではない、いまやれることをやろう、そんな気にさせてくれる。
 
大五郎は残念なことに亡くなってしまうが、大五郎の死のショックを乗り越え、大谷さん一家、とりわけ大五郎の世話を浴していたお母さんの大谷淳子さんが、自分の体が虚弱体質なのを乗り越え、強く生きようと一念発起する姿も勇気づけられる。
 
人と動物であっても、心の交流から学ぶこと、また、愛情を注ぐことで、人は強くなれるのだと、この本にはとても励まされた。今後も自分のバイブルとしていきたい。
 
(40代女性)
 
 
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