野口英世は自分が1歳半の時に母親の不注意で左手を負傷したにも関わらず、それを人の所為にせず、細菌学者としての道を切り開いた所が立派である。立派等と簡単に言ってしまったが、左手が不自由な事で友人にからかわれたり、本人自体も苦労してやってきた。だからこそ、人の痛みがわかる人間になれたのだと言える。
黄熱病が流行った時も自らを犠牲にしてアフリカに残り、研究に没頭した。私ならば、その国を見捨てて自国で身の安全を守っていると思う。この黄熱病の研究からだけでなく、野口英世の尊敬できる部分がこの話には詰まっており、人として本当に強くて清い心を取り戻せたような気持ちになる。小学2年生の時に読んでも大人になった今読んでも心が洗われるような内容である。
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主人公である野口英世は、折角五体満足で生まれたのに、と思ってやまない母の後悔や苦しみを子供ながらに理解していた。読み終わった後にその事がよくわかった気がして、母親の一生懸命さが我が子に伝わる物なのだと感動した。しかし、母親の過ちがあったからこそ、主人公はこんなに素晴らしい人物になれたのだとも思う。
もし、健康な体で生まれていたら、アフリカに残留する程の覚悟は無かったのではないかと感じた。それは、病気を経験した者にしかわからない感情だからである。自分の手が不自由だったからこそ、この人達を助けてあげようと言う想いが強くなったのではないかと感じてしまう。どうしようもない状況を経験した人間程、強い者はないからである。
元々、賢い人等いない。色々な痛みに耐え、苦しみ抜いた人生だったからこその彼の結果だと思う。また、手の怪我のおかげで百姓ができなかったので心苦しい思いをしながら、医学の勉強をしていた彼の心情に胸が痛くなる。母親に早く楽をさせてあげたいと焦ってのもあり、優秀な成績で学者になれたのだと思った。
余程頭の良い人間だとしても、範囲の無いテストの内容は運次第の時もあるので、神様も主人公に味方したのだと感じ、嬉しくなった。選ばれるべくして選ばれた野口英世は自分を傲る事なく、人の為に尽くした人生をまっとうできたのだと思った。こんな人が本当にこの世に生を受けたのかと思うと、同じ時代に生まれたかったという思いが強くなった。
(30代女性)
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