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読書感想文「“It(それ)”と呼ばれた子(デイヴ・ペルザー )」

「“It(それ)”と呼ばれた子」の読書感想文①

私がこの本と最初に出会ったのは中学生の頃である。まだ、世の中でも「虐待」という言葉がそれほど浸透されておらず、読み終えた時の悲しみとあのどうしようもなくやり場のない怒りの感情を大人になった今でも覚えている。
 
今の時代では、毎日のように耳にするようになった虐待のニュース。何人、何十人もの小さな子供たちが被害に遭ってきたのだろう。同時に何人もの尊い命が奪われてきてしまったのだろう。この本の著者、デイヴ・ペルザーもまた母親の虐待に恐れ続けてきた一人である。
 
「骨を折る」ことなど容易く、「熱湯」をかけることなども頻繁に行なわれた。それで火傷をしようが、大怪我になろうが、母親は痛くも痒くもないのだ。まるで、虐待をしている自分に酔いしれているかのように、ありとあらゆる虐待を楽しんでいた。
 
そんな恐ろしい時代が、日本にも訪れてしまっている気がするのは私だけだろうか。子供が犠牲になる事件・事故が相次ぐ中で、それを悪い事だと認識出来ていない大人たちが多すぎる。自分の怒りの矛先を子供に向け、ストレス発散の為にと子供に暴力を振るう。
 
泣きわめく声がうるさいからと言ってお風呂場に何時間も監禁、自分の夜遊びの時間を作りたいがために、子供を家の中に放置。ご飯も与えず、オムツ交換もせずに何日間も放置し、幼い二人の小さな命が奪われてしまった最悪な事件は記憶に新しい。
 
虐待のニュースを耳にするだけで、いつもいつも胸が痛い。私自身も娘がいるが、あんなに痛い思いをして生んだ子供をなぜ痛めつけるのだろうか。母親として、いや、一人の人間として私には理解が出来ない。子供にも人生を楽しむ義務がある。
 
よく「子供は親を選べない」と聞くことがあるが、こんな時代だからこそ、子供が親を選ぶ権利があるのではないか。虐待に怯え、実の親の元で恐れ続けているような人生なんて何一つ楽しくもなければ、親から得るものや教えてもらうべき事は一つもない。
 
それならいっそのこと、里親になりたいと心底から思い、子供のことを真剣に考え、たくさんの愛情を注いでくれる親元へ行くべきである。「生みの親より育ての親」という言葉もある通り、子供の心からの笑顔を優先したい。
 
愛に溢れる素晴らしい里親に出会い、本当の「親子」関係を築いていってもらいたい。こんな薄汚れてしまった時代で今日も虐待に苦しんでいる子供がいると思うと、悲しい以上の気持ちが湧いてこない。
 
デイヴ・ペルザーのような人生を歩むことがないよう、一日も早く幸せな人生を歩んでいける未来が来ることを信じて願い続けたい。
 
(20代女性)

「“It(それ)”と呼ばれた子」の読書感想文②

残虐な児童虐待が描かれている実話である。なぜか、三人兄弟の次男だけ実の母親から虐待を受けてしまう。その内容がまた酷く、衣食住が保証されることはなく、身体への暴力も常に多くあった。そのほかにも赤ん坊の汚物を食べさせられたり、火で焼かれたり、母親から『それ』と呼ばれたり、身体的虐待と同時に精神的虐待も受けていたのである。
 
自分の子どもにこんなにひどいことをする母親がいるのかと、本当に実話なのかと疑いたくなるほどひどい内容で目をつぶりたくなった。一番頼りにしていた父親も家から出ていかれた時には、不甲斐ない父親に怒りを感じた。虐待された子どもは、ひどいことをされても親を守りたいがために、第三者に知らせず、それで発見が遅くなることが多い。
 
しかし、この本の子どもはそうではなく、見つかると母からの暴力がひどくなるから、言えずにいた。一度、学校の教師が気づき、母親に知らせたが、結局子どもは家でひどい暴力にあった。助けを求めることができなかったこの子どものことを考えると心が苦しくなる。児童福祉に勤めている私は母親の心情を想像したが、おそらくこの母親も、被虐待児なのではないかと考えた。
 
虐待をする親の原因のほとんどは、自分自身、幼い頃に虐待を受けたことが多い。三人も子どもがいる中、1人だけ虐待されているのは、特に理由もなさそうだったのでそうなのではないかと考えたのである。本当に世の中にこのような残虐な児童虐待が悲しいことに存在していることを受け止め、保育士や幼稚園教諭などの三者の目が子どもを助けることの大切さを痛感させられた。
 
この時代はまだ、児童虐待に対して世間が注目しておらず、教師が気づいても防止しにくいようだったが、今はきちんと法律もある。特に、親をかばって言い出せない子どもや発達的に口で助けを求められない子どもに関しては特に大人が助けるべきだと思った。私は、内容が衝撃すぎて、容易に想像ができる表現なので幼少期以降の続きはとてもじゃないけど読めなかった。そのくらい、この本には影響力があり、児童虐待について、考えさせられた。
 
(20代女性)

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