読書感想文「面白いほどよくわかるマキャヴェリの君主論―人間と組織の本質を説く権謀術数の書! (金森誠也)」

小学生のころに、この本に出会っていたかった。それが、この本を読んでの一番の感想だ。「君主論」は、16世紀ごろに活躍したフィレンツェ共和国の官僚ニコロ・マキャヴェリによって書かれたもので、当時のイタリアは群雄割拠の時代だった。

 

混迷を極める国を統一、平定することができる強い君主が求められていた。その君主に求められる資質、あるべき姿、必要な心構え、といったことが書かれている。「君主」という言葉どおり、現代では古臭く単なる歴史書といった印象だ。

 

ただ、この本では、その昔に書かれた「君主論」を、各論を現代風にわかりやすくまとめあげ、洋の東西問わず歴史上の人物や経済界や政界で活躍したリーダー達のエピソードを紹介しながら、その論の有用性を一つ一つ実証しているところが大変面白い。

 

どれほど場所、時代背景や価値観や文化が違っても、この君主論が通用することが証明されているならば、これは宗教上の「真理」に近いといえる。私の人生のバイブルとして、今でも大事にしているのがサンテグジュペリの「星の王子さま」なのだが、その美しい詩的な精神性は、現代日本の熾烈を極める資本主義のなかでは有用な書と言い難い。

 

 

 

対して、「君主論」では子どもじみたきれいごとが排されているため、小学生のための書ではないのかもしれない。しかし、私は子どもじみたきれいごとを大事に抱えて大人になったため、社会に出てから大変苦労する羽目になった。

 

用意周到に練られた作戦どおりにすすめられる会議があることを、知らないままにいつも突撃していた。人の嫉妬心によって、正論がつぶされることもあるのだ、ということを目の当たりにして衝撃を受けた。これらは、16世紀に生きたマキャヴェリが忠告してくれていることを知って、行動指針にしていれば、もっと上手く立ち回れていたかもしれないのに。

 

小学生で読むには、早いのかもしれないが「星の王子さま」の精神性に感銘を受けてリスペクトする前に読んでおきたかった。本文を引用すると、カールマルクスは「歴史は二度繰り返す」とし、フリードリッヒ・ヘーゲルは「歴史は二度演じられる」と言った、とある。

 

そしてマキャヴェリは「人間はいつの世でも同じことを考え、同じことを望んできた。そのため時代が変わっても、誰かが支配し、誰かが支配されるという構造や、体制に反逆した者が結局は元の鞘に戻るということも繰り返される」とある。資本主義社会で生き抜くためには、一人一人が君主となり自分の大切なものを守っていかなくてはいけない。

 

現代を生きる我々には、少子高齢化、社会保障費の増大、年金不安、消費税増税、雇用不安、公債残高838兆円(平成28年度)、と待ったなしの難問が降りかかる。その未来を知り賢明に生き抜くには、過去を知り、その叡智を結集することがカギになるのかもしれない。

 

(30代女性)

 

 

 

 

 

 

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