読書感想文「ふがいない僕は空を見た(窪美澄)」

この本を読んで私は明日を頑張れると思えた。私はこの本を読んだ時はうつ病だった。私の家庭には居場所がなかった。私のことを無視しつづけて6年の父親がいて、父親が私を無視するために家族での会話には参加できずにいた。そのため、部屋に引きこもりがちになってしまった。さらに高校に進学して環境がガラッと変わった。

 

中学の頃は仲のいい友達という居場所があったけれど、高校に入ると仲のいい友達と呼べる程の友達ができず、居場所を失ってしまった。そんな状況が続き、私はうつ病になってしまった。毎日が荒んだ日々で、満足に寝ることさえままならず、明日なんてこなければいいと思っていた。食欲もわかず、やることもないので本を読み、現実逃避する日々が続いた。

 

そんなときにこの本に出会ったのである。この本の登場人物たちは問題を抱えている。その問題に対して登場人物は奮闘する。読んでいて私の状況と似てるなと思った。さらにその問題は人には言い難いという点でも私と同じだと思った。作中では大きな変化はないけれど登場人物たちは感情を変化させ、厄介な問題を抱えるけど生きようという決心をしたように私は思える。

 

そんな登場人物たちに影響され、私はうつ病を治すことはできないけど一歩前向きに頑張っていこうと思えた。それから私は気持ちに変化があった。以前は常に死にたいと思っていたが、死にたいと思う頻度がほんの少しだけ減っていった。それから小さな感情の変化によってだんだん改善されていった。完璧に治すのには長い年月が必要だったけれどうつ病を克服することができた。

 

この本がうつ病を治したわけではないけど、この本が治すきっかけになりこの本と出合えて本当によかったと思う。この本の登場人物たちも少しずつ良くなって私のように長い年月をかけてでも解決することができたらいいなと思った。治ってからこの本を読みなおした。

 

うつ病のときに読んだときは自分にしか当てはめてなかったけれど、治ってから読むと自分だけでなく、普段一緒に生活してる家族や友達にも厄介な問題を抱えているんだなと思えた。独りよがりでなんで自分だけと思っていた私の心境に変化が表れ、自分だけじゃないんだという安堵感をえることができた。

 

(10代男性)


 

 

 

 

この小説を読んでわたしは少なからず救われました。わたしはわたし。これでいいんだ、そんな気持ちにさせられました。色んな人の人生があり、いろんな考え方があり、だからみんな他人の行動に影響されたり翻弄されたりして生きていく。そんな当たり前だけど自分をふがいないと思ってしまうことが、それで良いんだ、当たり前なんだ、みんな誰しもそうなんだ、と思わせてくれる、そんな小説でした。

 

みんながみんな本当の気持ちを相手にさらけ出して生きていけるわけでもなくて、だからと言って隠し通して生きられるほど強くもなくて。そんな、不甲斐なさが、登場人物たちひとりひとりから伝わってきて、だからこそ共感できて、読みはじめから読み終えるまで素直にすんなりと自分の中に言葉が入ってきました。

 

読了したすぐあとは、その内容の濃さに、包み隠さず語られる人々の思いのたけに、ただただ圧倒され、そしてなぜだかわからないけれど救われた気持ちになっていました。

 

読了して数ヶ月たってまた、読み返してみると、ああこういうことだったのか、ああこんなにもこの人の思いは深かったのか、と、改めて登場人物のひとりひとりに引き込まれていきました。年齢がどうだとか、学生だとか主婦だとか、そんなの全然関係なくて、みんなそれぞれに真剣な思いを抱いていてそれにともなって行動していく。

 

そうして人間関係が築き上げられていき、そこにはもちろん反発や批判などの黒いものもうずまいている。それでも自分たちはそこで、その場所で、生きていかなければならない、そんな社会の冷たさや厳しさも赤裸々に描かれていました。わたしだったらどうしたかな、やっぱり同じようにしたんだろうな。

 

と思いつつも、何でこうしなかったんだ、こうすればよかったのに、と後悔の念まで抱くほど、感情移入させられました。この小説に出会えてよかった。そう語るひとが多いのは、きっと自分のことを不甲斐ないと思わない人はいないからなのではないでしょうか。

 

(30代女性)


 

 

 

「ふがいない僕は空を見た」本の表紙のデザインにまず惹かれ、手に取った。表紙をめくるとまず目に飛び込んでくる「性」をイメージする文章。細かくリアルに描かれていて、一見官能小説だろうか?と疑ってしまうほどである。人間にとって誰もが避けることのできない性生活。主人公の男子高校生は、助産院の家庭で育ち、多くの女性の出産に向き合う経験のある青年。

 

母親赤ちゃんとしてこの世に誕生することの大変さや凄さを人一倍感じている彼は、人よりも早めに性の目覚めを感じただろうと思う。しかし彼は、初めてセックスを既婚者の女性と経験する。その既婚者の女性と、男子高校生の性を含めたストーリーで、とても深い内容だ。まず、私にはコスプレの趣味はない。

 

なのでコスプレに関しては全く興味を示せないが、既婚者の女性と男子高校生は「コミケ」という会場で出会うのは少し興味深い。出会いというのはいつどこであるのかわからないなととても実感した。彼は、友人の付き添いで行った会場で、自分が今後愛してやまない女性に出会ってしまい、不倫をしてしまう。

 

ここまできくと、男子高校生と既婚者の女性が不倫をするというストーリーで終わりのありきたりな物語と思うがそうではない。女性には、「子供ができない」という悩みを抱えている。旦那の母親からの圧力と言葉の暴力のストレスというのは、耐えられないものだと感じる。

 

人は支えてくれる人、安らげる空間を欲して生きていけるのが最低限の暮らしであり、いつも監視されているような環境では本当に苦しいのだろう。決して不倫を肯定するつもりはありませんが、この世に起こる「不倫」は独身の私には分かり得ないことだし、簡単に批判することはできないと痛感。

 

皆、現状に不満なく生きていけたらどれだけ幸せなのだろうと思う。相手のことをどれだけ思っても、人間の欲求には逆らうことができないのだろうかと。目の前にいる恋人や家族をずっと大切にしていきたいと思いつつ、それは私自身の考え方なので、人がどう行動しようが、どう捉えようが人それぞれでいいと感じた。

 

母親が自分を産んでくれた以上、立派にまっとうに生きていけたらそれほど幸せなことはないが、時に脱線して道を踏み外しても、それは自分の経験値としてしっかりと生き続けていくのだと思う。いつか自分が出産、育児をする立場になったとき、また読み返して、子供を世に誕生させるということの重大さと責任をしっかり受け入れたい。

 

(20代女性)

 

 

 

 

ふがいない僕は空を見た (新潮文庫)
窪 美澄
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