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読書感想文「存在の耐えられない軽さ(ミラン・クンデラ)」

一見、小説とは思われないようなタイトルである。実際、内容もすこし哲学書のような印象を受ける。しかし読んでいくと、これはれっきとした純粋小説であるということがわかる。章は7つに分かれているが、第一部の「軽さと重さ」というパートが、第五部にも登場する。
 
同様に、第二部の「心と体」は第四部に再度現れる。これは、登場人物の視点を変更する役目を担っており、作者は「軽さと重さ」という議題に対してトマーシュという男性を生み出し、「心と体」という議題に対してはテレザという繊細で壊れやすい女性を投影させた、ということである。
 
登場する人物たちはどれも魅力的で、皆が、そこにいるべくして存在している。作中にたびたび登場するベートーヴェンの「運命」。『こうでなければならないのか』『こうでなければならない』と言った印象的なフレーズをまざまざと見せ付けられるようである。
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人々は、こうでなければならないことに苦しみ、もがく。国と国の間で勃発した戦争、その戦争が遺した確執。それは国同士の確執であり、その渦中を必死に生きる個人にとっての確執でもある。猜疑心と策謀の交錯する息苦しい都会の中で、それぞれがそれぞれの存在と、その軽さに対する葛藤を見る。
 
テレザは、大勢の女たちの中に自分もまた在って、大勢の女たちと共に大声で歌って踊ることに対して不安と恐れを抱く、という夢を見ながら、常に現実にトマーシュを取り巻いている女たちに惑わされる。大声で笑い合う女たちに、そしてその女たちを束ねているトマーシュに、さらにはその女たちの中に落とされる自分自身の、トマーシュに対する存在の軽さを、その全てに恐怖し、叫ぶ。
 
フランツは大行進に参加する。大勢の中で、自分もまたその大勢に混ざって、皆と同じように手と足を大きく上げてカンボジアの地雷だらけの中を大行進していく。自分自身の存在を軽くすることで得られると確信している、重さ。
 
軽さと重さという永遠のテーマに、自らの全身全霊でぶつかり合う、激動の時代を生き抜いた人々を見事に描いた、重いようで軽い、軽いようで重い作品だった。
 
(20代女性)
 
 
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