読書感想文「アルジャーノンに花束を(ダニエル・キイス)」

この本を読んでみて最初に感じたことは人の幸せとは何か、人生や人そのものについて多くを考えさせられる作品だ。本を読みながら考えたりする作品は多くあるが、何年たってもこの本は私に考えることの刺激を与えてくれている、ただ感動したというだけではない不思議な物語になっている。

 

日本では映画にもなったので知っている方も多くいると思うが、この作品は知的障害を持った青年の話である。障碍者が主人公ということで、初めに『可哀想』といった同情心を持ってしまった。障害を持っているということだけで人よりも辛い人生を歩んでいると思ってしまったのだ。

 

実際この青年は仕事はしているのだが職場の人間から馬鹿にされいじめを受けていた。それだけでも可哀想なのだがなんと彼は、イジメといった人の悪意を知らずに生きているために周りから話しかけてくれる優しい職場の人間と楽しく仕事をしているのだ。私は彼をなんて可哀想なのだろう、職場の人間に憤りすら感じたほどだ。

 

 

 

序盤はこのように彼が知的障害を持っていることによる不必要な悪意ある物事に悲しみを感じながら読み進めた。だが、物語が進みこの青年が治療により知的障害がなくなり人並み以上の頭脳を手に入れることが出来た。これで人並み以上の幸せを手にすることが出来ると思ったが彼には幸せではなく今まで人からの悪意など知らなかったことに気付いてしまったのだ。

 

自分の人生が普通の人よりもひどいものだと初めて知ってしまった彼は幸せとは遠い場所に行ってしまった。私はここで衝撃を受けたのだ。知らぬが仏とはまさにこのことなのだろうと。彼は知的障害によってなにも不自由を感じていなかっただけではなく十二分な幸せな人生を歩いていたのではないか、勝手に彼の人生を不幸にしていたのは他人の私だったのだと気づかされた。

 

弱者は不幸せであるといった勝手な思い込みはなんとも滑稽な私の考えであったのだ。幸せを決めるのは他の誰でもない、自分だけである。他人が人の幸せの物差しを考えるべきではないのだ。また自分の幸せは自分自身が決めるものである。自分が幸せなことに他人の人生がどうとかは全く関係がないということだ。

 

私は自分の人生が不安に感じるとこの本を読むようにしている。自分の人生は間違っていない、自分の幸せは自分で決めるものだと背中を押してもらうためである。何年たっても楽しんで読める素晴らしい作品だと思う。

 

(20代女性)

 

 

 

 

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ダニエル・キイス
早川書房
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