読書感想文「日本が世界一「貧しい」国である件について(谷本真由美)」

「めいろま」としてツイッターでときどき著名人につぶやきが引用されていたことから著者のことを知り、世界各地で仕事をしてこられた経験から舌鋒するどく日本や世界の色々な事柄に切り込んでいるところが面白いと思い、著書をAmazonで購入してみた。
 
著者はイギリス人と結婚してイギリスに住んでおり、私もイギリスの大学院に留学していたので、日本との価値観や生活の違いについて、そうそう!と激しく同意するところが多かった。例えば、イギリスはかつて世界各地を植民地化しいち早く産業革命を起こしてきた国なのに、実際行って住んだりしてみると、ソフト、ハードともにインフラは超適当である。
 
私が実感しただけでも、鉄道発祥の地のくせに、到着時間は適当、乗車時「mind the gap」とアナウンスを流すだけ(ホームドアつけるとかしない)、車内も車外も汚い、どこで降りたらいいのか分かりづらい表示などに驚いた。これはあらゆる公共交通機関で言えて、特にバスは初心者にはもっと使いづらい。

 
 
職員も、日本的な厳しい職業倫理を持って仕事をしているという感じより、ただの生活手段として割り切っているという印象を受けた。この著書を読んで、あの時感じたことを踏まえて、すごく納得した。例えば、「電車は遅れるのが当たり前」「無理をして走らせると事故が起こる可能性があるので、遅れても安全運行」「駅員さんにプレッシャーをかけても、安全運行が妨げられるだけ」というイギリスの人々の共通認識。
 
少し遅れただけで鉄道側がものすごく申し訳なさそうなアナウンスをして乗客がクレームをつける日本との違いが際立つ。これは一つの例でしかないけれど、象徴的である。本のタイトル通り、日本は経済的には豊かなのに、実感的には貧困、ということがよくわかる。外国と日本の働き方を比べると、いかに日本の働き方が戦後の高度成長期の単純さから結局抜けくれていない。
 
そのことにみな気づかない(もしくは多くの人は気づいてるんだけど意思決定権のある人たちがこれまでの自分の生き方を否定できず頭の構造を変えられない)ために、硬直化した日本社会の歪みがもう無視できない状況にきている、ということが、この本を読んでみてはっきり感じたことである。
 
そして、著書の最後の文章が今心に刻みたいとすごく思わせるものだった。日本が国力を維持するにはどうしたらよいか、という文脈で、多様性を受け入れることが必要と説き、「違うから良い」と考えるためには、まず自分自身を尊敬すること、自分に正直になれた人はひとに対しても正直になることができる…。今の「不寛容」社会において誰もが心に留めるべきことだと思った。
 
(30代女性)
 
 
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