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読書感想文「その女アレックス(ピエール・ルメートル)」

ミステリーが好きな私でもページを捲るのに躊躇した。表紙の絵が印象に残りなかなか読むことができなかった。購入した電子書籍の一覧を見て、読むことにした。私が「アレックス」だったなら、同じように復讐をするだろう。
 
確かにアレックスは酷いやり方で自分を傷つけた男たちや女に対して惨い殺し方をした。だが、妙齢の美しい女性アレックスには「未来」が見えなかったのだ。いい年ごろの女性、特に美しい女性なら結婚をして子供を産んで・・・。
 
そんな夢を抱いてもおかしくはない。だが、アレックスにそんな夢を抱くことは許されなかった。過去の凄惨な「ある事件」によって。結婚?子供を産む?そんなレベルの話ではないのだ。アレックスのされたコトは。
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恋愛さえ望めない。誰かに恋をしても胸にしまっておくしかなかったであろうアレックス。美しいアレックスに声をかける男性もいただろうに。彼女には未来や夢さえ抱くことができなかった。こんな人生があるだろうか。私はページを捲るごとに、この「殺人鬼アレックス」へ同情した。
 
悲しい犯罪者。復讐をする事しか頭にない美しいアレックス。同棲だから同調したわけではない。この本を手にした異性でもアレックスの行う復讐、殺害動機に共感する人は少なくないだろう。それから復讐する道を選んだ殺人鬼アレックスを追う刑事ふたりのやりとりもわかりやすく書かれている。
 
タイトルが「その女アレックス」というのだからアレックスが主人公だと思い読みすすめると、なかなかどうしてこの刑事二人にも共鳴してしまう。小さい男カミーユ刑事。カミーユを補佐するルイ刑事。この二人の今まで生きてきた背景も想像ができ、どちらにも共感してしまうのだ。
 
そして頭の中でカミーユとルイの容貌を想像してしまう。私の中ではカミーユは眉間に深いしわが刻まれている気難しい男。ルイは背は高くスラッとしており、ブランド物を嫌味なく着こなす男で警察手帳を持っていなければ、どこかの御曹司の様なイメージ。
 
アレックスの過去の事件や背景は詳しく書かれていて胸が痛むが、私はこのクセのある刑事ふたりの物語をもっと知りたいと思った。それほどまでに魅力的な登場人物だからだ。アレックスに起こった凄惨な事件。カミーユの生い立ち。補佐でありながらカミーユを上手に支えるルイ。
 
洋書に手を出したのはこの本が初めてだが、あっという間に読み終えてしまった。登場人物がカタカナだと頭に入らないだろうと洋書を毛嫌いしていた事を後悔した。アレックスが何故、捉えられて拷問を受けているのか。
 
それから刑事たちはどうやって過去の事件にたどり着くのか。ミステリーやサスペンス好きならぜひ読んでほしい。ただ、アレックスの事を考えると数日は胸が痛むだろう。
 
(40代女性)
 
 
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